東武スカイツリーライン

 

 出発駅の浅草はホームの構造上、車体乗車口との間に隙間が広くなる場所がある。

その為ホームに、その隙間を埋める渡し板を持った駅員が何人も待機していて、扉が開くと素早く板を敷く。

これから終点の鬼怒川温泉までは140Km、凡そ2時間の特急「きぬ」の旅は始まった。

 

出発の合図でホームを離れると、列車は車輪を軋ませながらゆっくりと隅田川の橋梁を渡る。

と直ぐ左手間近にスカイツリーが見えるが、すぐにその足元に入り込むから、たちまち視界から消えてしまう。

車内の乗客は一瞬ざわめき、カメラが一斉に向けられるが、それは直ぐにため息にも似た落胆の声に変る。

東武鉄道の伊勢崎線は、浅草から東武動物公園までの間を「スカイツリーライン」の愛称で呼んでいる。

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

 「当列車の座席指定券は完売です」、との放送を後に発車したが、座席には二割ほどの空席が有る。

沿線の日光や鬼怒川辺りで紅葉が見頃を迎えているからか、この先の停車駅で更に乗り込んでくるのであろう。

車内には、旅姿のカップルや家族連れ、数人のグループ連れが多いようだ。

 

 列車は、出発して20分ほどで荒川を渡るのかと思いきや、その手前で大きく進路を変える。

右にその流れを見ながら、隅田川に挟まれたような地を暫く進んでから、ようやく橋梁で荒川を越える。

真っ直ぐに川を越えれば良さそうなものを、これは北千住への寄り道のようだ。

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

東武スカイツリーライン

 

 出発して凡そ1時間ほどして列車は、今度は利根川を渡る。

広大な関東平野もさすがにこのあたりまで来れば、町並みは途切れ、収穫を終えた晩秋の田畑が広がっている。

遠くに連なる山々では、既に紅葉が始まったようで、微かに色付いた山並みを望むようになる。

 

その先で、栃木、新鹿沼と停車を重ね、1時間40分ほどで下今市に到着する。

ここは日光線の乗換駅で、多くの乗客が降りて行ったが、中には外国人の姿も見受けられた。

 


 

東武特急「スペーシア」

 

 東京と日光や鬼怒川温泉を結ぶ「スペーシア」は、東武鉄道が誇る特急列車である。

この日浅草駅に入線してきた列車は、日光東照宮の式年大祭を記念したものであった。

金色に塗り込められ車体に、黒と朱色のラインが引かれ、荘厳な雰囲気の特別塗装が施されていた。

 

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

 

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

東武特急「スペーシア」

 

 車体の側面には「SPACIA」や「日光詣」のロゴが掲示されている。

列車は全席指定の6両編成で、1号車から5号車までが普通車である。

6号車はJRで言うグリーン車扱いで、4人用の個室が6部屋設けられたコンパートメントになっている。

3号車にはビュッフェがあり、自動販売機が備え付けられている。

 

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

 

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

武特急「スペーシア」

 

 座席は片側二人掛けの回転式リクライニングシートが採用され、シートの座り心地も悪くない。

前席との間隔が心持広く取られているようで、座ってみると前席の背もたれの圧迫感は殆ど感じない。

窓側に折り畳み式のテーブルが有り、足元にはフットレストも用意されている。

 

 

鬼怒川温泉駅

 

浅草からは1時間59分、終着の鬼怒川温泉に到着した

たった1分のことながら、2時間00分と言うよりは1時間59分の方が何となく早く感じるものである。

2時間を切るこの59分には、特急としてのバリューを高める狙いがあるようだ。

スーパーの値札と同じと思ってしまう。

 

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

 

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

 

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

 

ここは東京の奥座敷と言われる鬼怒川・川治温泉郷の玄関駅である。

思っていた以上に大きな2面4線を有する駅で、大勢の観光客などで賑わっている。

東武鉄道鬼怒川線はこの先の新藤原までであるが、新宿や浅草方面からくる多くの特急はここが終点だ。

更にこの先、会津若松方面に向かうには、野岩鉄道から会津鉄道に乗り入れる列車に乗り換えることになる。

 

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

 

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

 

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

鬼怒川温泉駅

 

鬼怒川・川治温泉郷は、都心からの交通の便もよく、関東の奥座敷とも言われる人気の温泉地である。

温泉街は広域で、電車で言えばここから一駅先の鬼怒川公園駅辺りまで広がっている。

 

鬼怒川渓谷の流れに沿って、上流方向の両岸には大きな旅館やホテルが軒を連ね広がっている。

中には廃業したまま取り残されている建物も有るようだが、まだまだ人気の温泉地である事に変わりは無い。

最盛期と比べると不振気味とは言え、今でも年間200万人以上の観光客が訪れると言う。

町営の日帰り入浴施設やロープウェー、近くにテーマパークやゴルフ場等も多く一大観光スポットになっている。

 

 

野岩鉄道

 

 野岩鉄道は会津地域と首都圏を結ぶ鉄道として、元々は旧国鉄の計画線であったらしいが頓挫した。

その後、東武鉄道や栃木県、福島県などが出資する第三セクター方式の鉄道として再出発している。

新藤原駅と会津高原尾瀬口駅の間30.7Km、9駅の路線として開通し、近年30周年を迎えている。

その名は栃木県の旧国名「上野の国」と会津地方の旧国名「岩代の国」から一文字ずつ取って名付けられた。

 

起点駅の新藤原駅の標高は425.3mで、途中の男鹿高原駅で765mのサミットを越える。

沿線は栃木県北部の山間部、鬼怒川の上流域で、川の蛇行を無視するかのように直進するのでトンネルが多い。

それでも時折川を渡ったりもするので、錦秋の山々、深く切り込まれた渓谷などが目に飛び込んできたりもする。

 

野岩鉄道

野岩鉄道

野岩鉄道

 

野岩鉄道

野岩鉄道

野岩鉄道

 

野岩鉄道

野岩鉄道

野岩鉄道

 

野岩鉄道

野岩鉄道

野岩鉄道

 

野岩鉄道

野岩鉄道

野岩鉄道

 

長さ3,441mの山王トンネルで県境を越えると福島県に入る。

野岩鉄道の終点・会津高原尾瀬口駅は福島県ではただ一つの駅で、ここでは標高が700mを越えている。

 

線路の高度が上がるほどに、沿線の民家はどんどんと少なくなっていく。

従って住民らしい人々の乗り降りも殆どなく、観光客を乗せた列車は、淡々と停発車を繰り返し進んで行く。

車窓は山また山で、丁度見頃を迎えた黄金色に染まった山並みだけが、どこまでも連なって付いてくる。

観光客と思われる乗客のお目当てもこんな車窓風景らしく、頻りにカメラを向けてはシャッターを切っていた。

 


 

会津鉄道

 

 会津高原尾瀬口から先は、会津鉄道の路線で、JR只見線の西若松まで、57.4Km21の駅で結んでいる。

元々は旧国鉄の会津線で、昭和21927)年11月に旧舟子信号所までが開通した。

その後南に向けて延伸され、会津滝の原(現会津高原尾瀬口)まで開通したのは昭和281953)年11月の事だ。

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

旧国鉄の民営化を経て第三セクター方式の会津鉄道として営業を開始したのは、昭和621987)年7月の事だ。

この時に、旧国鉄時代の駅名の多くが改称されている。

上三寄は芦ノ牧温泉、湯野上は湯野上温泉、楢原は会津下郷、会津落合は養鱒公園、田部原は田島高校前に変った。

更に、糸沢は七ケ岳登山口、会津滝の原は会津高原を経て会津高原尾瀬口などに変更されている。

旧地名等が付けられていた駅名が、温泉や公園やアクセス口等観光資源を意識したネーミングが試みられたようだ。

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

会津鉄道

会津鉄道

会津鉄道

 

 車窓から若郷湖を望む辺りでは、車内でも案内放送が行われる。

この湖は、灌漑、発電、治水など多目的ダムとして造られた大川ダムによって生まれた人造湖である。

若松市と下郷町から一文字ずつ取って名付けられ、周辺は公園になっていて、大川ダム公園と言う駅もある。

 

ダムにより集落と共に旧国鉄線も水没し、付け替えが行われたのは昭和621987)年の事だ。

湯野上温泉と大川ダム公園から芦ノ牧温泉の間は、25パーミルの急こう配区間で絶景が展開している。

しかしこの新線区間は、大戸・向山などの長いトンネルの連続で視界が遮られているのが残念である。

 



 

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