天岩戸神社

 

かつて高千穂郷には500余りの神社があったと言われている。

町の観光パンフレットにも、多くの神社が観光スポットとして取り上げられている。

天岩戸神社をはじめ、高千穂神社、槵觸(くしふる)神社、荒立神社、秋元神社などだ。

そうした神社の多くには、神々にまつわる伝説が残され、そのことが「高千穂」を「神話の里」と言わしめている。

 

 岩戸集落の中心街を抜け、右折すると正面に門前の商店があり、その手前を左に折れると駐車場がある。

ここ「天の岩戸神社」の駐車場には、何台かの観光バスや多くの乗用車が停まっていた。

思ったよりも広いスペースだが、それでも連休時ともなると満車が続き、県道が渋滞することもあるそうだ。

近頃のパワースポットブームによるものらしいが、この日が平日で良かったと思う。

 

天岩戸神社

天岩戸神社

天岩戸神社

 

天岩戸神社

天岩戸神社

天岩戸神社

 

 苔むした石灯籠が古社の風格を漂わせる、参道の右側には鬱蒼とした自然林が続いている。

その向こうに岩戸川が流れているが、その緑の壁に遮られ、瀬音を耳にすることは無い。

聞こえるのは踏みしめる玉砂利の音ぐらいで、雨音は静かに参道に吸い込まれている。

 

 この社は、古事記・日本書紀に書かれた、天照大神が隠れた天岩戸をご神体として祀っている。

その天岩戸は拝殿の背後、岩戸川を隔てた向こう岸にあるため、拝殿から目にすることは出来ない。

ここでは社務所に申し込むと、神職の案内付きでこちら岸から遥拝することが出来るらしい。

 


 

天安河原宮

 

 太陽神である天照大神が、素戔嗚尊の行状に怒り、天岩戸にお隠れになった。

磐戸を閉め籠ったため、その支配する高天原も、葦原の中つ国(日本の国)も暗闇に包まれてしまった。

しかもその後は疫病が流行り、不作が続くなど、さまざまな災いが起こってしまった。

 

八百万の神々は困ってしまい、皆が寄り集まって対応を協議したと神話は伝えている。

その神々が寄り集まって協議したとされる場所が、この天安河原である。

 

天安河原

天安河原

天安河原

 

天安河原

天安河原

天安河原

 

天安河原

天安河原

天安河原

 

 天岩戸神社裏口から一旦表の県道に出て暫く歩き、茶店が建ち並ぶ辺りで右に折れ、坂道をどこまでも下りて行く。

鬱蒼と茂る木立の中に続く道を下り、途中で岩戸川の支流に架かる小さな橋を渡る。

太鼓橋と名付けられた橋で、噂によればこの辺りの“気”は特別らしく、パワースポットとして人気の場所だとか。

 

 そこからさらに進むと岩戸川の流れは深山幽谷の趣で、岩を食む瀬音だけが高く耳に響く。

その流れに沿って続く道をさらに進むと、やがて河原が広がり、左手に大きな洞窟が見えて来る。

そこには小さな鳥居が建ち、奥に祠が祀られていて、この地こそが天安河原であり、祠は天安河原宮である。

 

天安河原

天安河原

天安河原

 

天安河原

天安河原

天安河原

 

天安河原

天安河原

天安河原

 

 そこら辺り一帯には、石で積み上げた小さな塔が、無数に拡がっている。

参拝に訪れた人々が願をかけ、一つずつ積み上げたものだそうだ。

小石を二つ三つ積み上げた簡素なものから、大きな岩の上に段々に小さな岩を積み上げたものまで多彩だ。

その数無限とも思える石塔が、一種独特な空間を作り出し、周りの異様な雰囲気を演出している。

河原の緑の枝越しには僅かな光が差し込み、その光景が幻想的で、この地の神秘さを一層高めているように見える。

 


 

天岩戸神社・東本宮

 

「東本宮は、もうお参りされましたか?ここまで来られたのだから是非お参りをして帰って・・・」

 

天安河原宮を参拝の後、入口付近の茶店に入って休憩し、シイタケ茶を飲んでいると、女店主が勧めてくれた。

先ほどお参りした天岩戸神社は、「西本宮」と言われる社で、岩戸川を挟んだ対岸には「東本宮」がある。

この東と西の本宮を総称して「天岩戸神社」と呼んでいる。

 

「東本宮」は、「西本宮」の駐車場脇の商店前から歩いてもすぐの距離にある。

「天岩戸東本宮」と書かれた石柱が建つ前が広場に成っていて、どうやら駐車場らしいが閑散としている。

周囲に売店も無く、駐車中に車も無い、ここまで足を延ばす参拝客もいないらしく、姿は全く見られない。

 

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

 

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

 

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

 

鳥居をくぐり、苔むした年代を感じさせる石段を一歩一歩上がると、正面に拝殿がせり上がってくる。

天照大神を御祭神とする神殿である。

樹齢数百年と言われる沢山の老木に覆われた境内は、静謐で寂寥感に溢れ、肌寒くさえ感じる。

こんな感触を「気」と言うのであろうか。

「西本宮」とは全く異なった物音のないこの空間は、何とも神秘的で神々しい。

 

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

天岩戸神社・東本宮

 

 その神殿の右手から裏に回ると、遊歩道が有り、そこを暫く進むとしめ縄を巻かれた一本の杉が見えて来る。

神木と言われる古木で、その根元からは御神水が湧き出ている。

先ほどの茶店で飲ませて頂いたのはこの水で、それは口に含むと何とも甘くて柔らかなまさに甘露である。

 

 そこからさらに100mほど進むと樹齢600年余りと言われる七本の杉が見えて来る。

樹根が一つと言われる古木で、(ここからは見えないが)丁度そのあたりに天の岩戸がある。

ここはその神域の中心とも言われる場所で、「西本宮」の拝殿から遥拝するのはこの場所に他ならない。

 


 

槵觸(くしふる)神社

 

 高千穂のバスターミナル近くの、市街地を抜ける県道脇に、「槵觸(くしふる)神社」と言う古社がある。

日本書紀には、「日向の高千穂の槵觸峯(くしふるのたけ)に到します」と記されている。

天孫瓊瓊杵尊が天降りした、槵觸の峯の中腹に位置する神社で、降臨のさい随行された神々をお祀りしている。

元々はこの峯そのものがご神体として祀られていたが、元禄時代に社殿が建立されと言う。

 

槵觸(くしふる)神社

槵觸(くしふる)神社

槵觸(くしふる)神社

 

槵觸(くしふる)神社

槵觸(くしふる)神社

槵觸(くしふる)神社

 

 この境内に設けられた遊歩道を行けば、途中には高天原の遥拝所もあると言う。

ここには「天岩戸神社」の「西本宮」のような賑わいは無く、他に参詣者の姿を見ることも無い。

この日訪れたのは、夕方5時を少し回った頃である。

杉などの巨木に覆われた参道は、薄暗い灰色のベールが覆い始め、辺りは不気味なほどの静謐さであった。

何かを感じそうな気配の漂う社で、それをパワーと言うならば、ここは間違いも無くパワースポットである。

 

 

国見ケ岳

 

 観光パンフレットによると国見ケ岳は、高千穂町の西方にある台地状の山で、標高は513mと言う。

元々高千穂町が標高300mほどの高地にあり、山としては左程高くは無く、車なら10分ほどで登れるらしい。

 

市街地を通り抜け案内標識に従い国道218号線を外れ、集落を抜け余り広くは無い林道を上る。

全線舗装とは言え、所々に狭い場所も有り、大型との離合を心配しながら進むと、広い駐車場に辿り着いた。

道はその先に続いているが通行止めで、そこからは緩やかな坂を少し歩いて展望所に向かうことに成る。

 

国見ケ岳

国見ケ岳

国見ケ岳

 

国見ケ岳

国見ケ岳

国見ケ岳

 

国見ケ岳

国見ケ岳

国見ケ岳

 

国見ケ岳

国見ケ岳

国見ケ岳

 

国見ケ岳

国見ケ岳

国見ケ岳

 

 釈迦の寝姿に例えられる阿蘇の外輪山・五岳や祖母山の連なる、素晴らしい眺めである。

更に、天孫降臨の地と言われる二上山から椎葉の山々等が連なって見える。

眼下の盆地に目をやれば、高千穂の町並み、蛇行する五ヶ瀬川渓谷、そこに架かるアーチ型の大橋等が展望できる。

ここは雲海の名所としても知られているらしい。

雲海は9月から11月にかけて、日の出から1時間ぐらいまでが見ごろだと言う。

 

一段と高い丘の上には、「高千穂」と言う名の謂れにまつわる神話をモチーフにした像が、東を向いて建っている。

天照大神の命を受け、二上の峰に天下った瓊瓊杵尊は、霧が深くて何も見えず困っていた。

その時出会ったのが、この土地に住む大鉗(おおくわ)・小鉗(おくわ)の二人ある。

「尊が手にする稲千穂を籾にしてまけば、霧で曇る地上界は晴れる」、と進言したのが地名の起こりとされている。

 



 

| ホーム | 国内の旅行 | このページの先頭 |

 

(c)2010 Sudare-M, All Rights Reserved.

 

 

 

inserted by FC2 system