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奥大井のトロッコ列車

 

 千頭駅から井川駅までの井川線には、トロッコ列車が走っている。

「南アルプスあぷとライン」と呼ばれるこの路線は、昭和29年に中部電力が、ダム建設のために開通させた専用軌道がその前身である。

 

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 広い千頭駅の構内に乗換駅が有る。

赤色に塗られ、白いラインの入った可愛らしいミニ列車は、ここから南アルプスの懐深くへ入り込む。

千頭駅の標高は約300m、終点の井川駅は約700m、25Km余りの路線は、急勾配を行く山岳列車でもある。

 

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トロッコ列車だけに、車内は狭い。

両側の二人掛けのシートに大人が座ると、肩が触れ合う程で、通路を塞いでしまう。

乗り心地は、お世辞にも良いとは言えないが、ここからは、大井川の上流域の渓谷が車窓の友と成り、奥大井への旅の期待を掻き立てる。

 

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 途中の奥泉駅は、寸又峡温泉への玄関口、バスの接続が有る。

次のアプトいちしろ駅には、千頭駅からは40分程で到着する。

 

 

90‰を行くアプト式鉄道

 

 この路線の売り物は、何と言ってもアプト式鉄道だ。

アプトいちしろ駅から、次の長島ダム駅間は1.5Km1000mにつき90mも上がる日本一の急勾配が待っている。

そのため、普通の機関車では力が不足することから、レールの間にラックレールを敷き、機関車の車輪の間にある歯車をそれにかみ合わせて進む特殊なED90形機関車で後押しをする。

この駅ではそんな機関車が、最後尾に連結される模様を見学する事が出来る。

 

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 列車は歯車の噛み合わせを確かめるように、ゆっくりと、ゆっくりと車輪を軋ませながら急坂を上る。

その勾配は、運転席から前を見ても十分に認識出来る程の傾きが有る。

 

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 長島ダムの建設で、線路の一部が水没するため、その内の4.8Kmがこのように付け替えられた。

それにより生じたこの急坂は、井川線の一つのハイライト区間でもある。

 

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やがて右手に高さ109m、幅308mの巨大な長島ダムが見えてくる。

周辺には、公園や散策路が整備され、間近でこの巨大な多目的ダムの水煙を浴びる事が出来る。

 

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アプト区間は数分で終わり、ここ長島ダム駅で最後尾の機関車を切り離し、いよいよこの路線のもう一つのハイライト、奥大井湖上駅に向かう。

 

 

レインボーブリッジ

 

 右手に、穏やかに満々と水を湛えた大きなダム湖が見えて来た。

新しく付け替えられたアプト式鉄道の区間を過ぎ、後押しする機関車を切り離し、身軽に成ったトロッコ列車は、湖に架けられた赤い橋を渡り、暫くするとその途中で停車する。

奥大井湖上駅だ。

 

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エメラルドグリーンに輝く水面に、山影を静かに映している湖は、長島ダムの建設により出来た接阻湖である。

向こう岸にはこのダムにより水没、廃線となった旧線のトンネルが見える。

 

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ダム湖にせり出した、半島のようなところにこの駅は造られている。

湖底からその高さは70m余り、レインボーブリッジと呼ばれる474mの美しい橋の中間にその駅は有る。

乗客は、僅かな停車時間を使ってホームで写真を撮り、手すりから身を乗り出すように下を覗き、その高さに歓声を上げる。

 

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そんな乗客達の嬌声すら包み込んでしまう程に静かな駅である。

湖面を渡る風がひんやりと心地良い。小鳥たちのさえずりがすぐ間近に聞こえてくる。

ホームには、幸せを呼ぶと言う、“風の忘れもの”と名付けられたベルが有る。

 

 

接岨峡温泉

 

線路際が開け、大井川を挟んで、少し大きな集落が見えてくる。

ここ、接岨峡温泉駅では、おばさん駅長が出迎えてくれる。

 

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駅のすぐ前にある、「接岨峡温泉森林露天風呂」の女将さんだ。

ここは、「若返りの秘湯」と言われる、ナトリウム炭酸水素塩泉の日帰り温泉施設だ。

 

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近くには、「接岨峡アドベンチャーウォーク 八橋小道ラブロマンスロード」と名付けられた、接阻湖を巡る散歩道が整備されている。

 駅を出て、井川線の線路を渡り、緩やかに下って湖岸に出て、広い県道を暫く進むと、その少し先に大きな吊橋がある。「南アルプス接阻峡大吊橋」と名付けられた長さ240mの橋だ。

ここを起点にして、幾つかの吊橋や、赤い太鼓橋などを結ぶ小道は、静かな湖畔の風景を楽しみながら、1時間程で巡る事が出来る。

 

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 湖岸を歩く道の終着点近くには地蔵堂が有る。

その先には接岨峡温泉会館も有り、気軽に立ち寄り湯を楽しむ事が出来るので、汗をかいた身体を温泉で流し、疲れを癒すには丁度良い。

温泉からは、歩いて10分程で駅に戻る事が出来る。

 

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悲しい伝説の秘境駅

 

 井川線の沿線には淋しい駅が多い。その代表的な駅が尾盛駅だ。

石組に土を盛り上げただけの粗末なホーム、僅かな建物が淋しく立つだけの駅のすぐ後ろには、急峻な山肌が迫っている。

こんな山間の秘境駅では、タヌキの置物が観光客を迎えてくれる。この駅には、悲しい伝説が残されている。

 

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『トンネル工事の山小屋で働く、二人のまかないさんと別れたオモリのタヌキは、何日も何日も山小屋に残された食材を食べながら、まかないさん達の帰るのを待った。

しかし、何時まで待っても、まかないさん達が再び飯場に帰ってくる事は無かった。

やがて食料も無く成るが、オモリの原野を離れようとしないタヌキは、こうして今日も、ホームでまかないさん達が帰ってくるのをずーっと待っている。

 人の住まないまま残された建物はやがて朽ち、山から人の姿が消えてしまった。』

 

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今では、周りに民家も道路も無い秘境駅。

乗降客の姿は無く、ホームには「クマ出没注意」と書かれた看板が掛けられている。

 

 

南アルプスの登山口

 

渓谷は益々その深さを増し、線路のすぐそばまで、山が迫ってくる。

やがて列車は鉄橋を渡る。私鉄の鉄橋としては、日本一の高さ100mを誇る、「関の沢鉄橋」だ。

ここでは列車がそのスピードを落とすサービスがあり、ゆっくりとその深い渓谷美を堪能する事が出来る。

 

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 ここを過ぎると、トロッコ鉄道の旅もいよいよ終わりが近く、残り5キロほど。

20個のトンネルを潜りながら、標高686mの終着駅に向けて、25パーミルの急坂を一気に登る。

やがてトンネルの間から、ダムが見え隠れすると終点井川駅に到着だ。

 

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かつてはここから更に奥に、堂平と言う貨物駅が有ったらしいが、今ではそこに向かう線路だけが残され、その名残を僅かに留めている。

 

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井川駅は、南アルプスの登山口の駅である、と同時に井川ダムを巡る観光の拠点でもある。

駅から階段を降りた先には、土産物などを売る茶店も有り、駐車場も整備されている。

ここからバスに乗り換えるツアー客も多いのか、駅前にはバスガイドが、手旗を立てて乗客を待っていた。

 

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井川ダムは、中部電力により日本で最初に造られて中空重力式のダムで、付近には電力資料館などが有る。

ダム湖には、トロッコ列車と接続する無料の渡船があるので、湖周辺のウォーキングコースを散策するときに利用すると良いだろう。

 

 

 



 

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