南アルプスあぷとライン 奥大井のトロッコ列車

 

 「南アルプスあぷとライン」と呼ばれる、千頭駅から井川駅までの井川線には、トロッコ列車が走っている。

この路線は昭和29年に中部電力が、ダム建設のために開通させた専用軌道がその前身である。

 

 広い千頭駅の構内に乗換駅が有る。

運行する車輌は、DD20型ジーゼルカーで、ナロゲージ並の小さな車輌が特長である。

赤色に塗られ、白いラインの入った可愛らしいミニ列車は、ここから南アルプスの懐深くへと入り込む。

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

大井川鐵道大井川線の起点、金谷の標高は93mほどである。

終点の千頭駅の標高は約299mで、39.5qの間に200m程登ってきたことになる。

ここから先25Km余りの井川線では、更に400m近くも上り、終点の井川駅の標高は686mにもなる。

途中には信じられないほどの坂を登る急勾配区間も有り、正に山岳列車でもある。

 

 

寸又峡温泉の玄関駅 奥泉

 

途中の奥泉駅は、千頭から数え5つ目の駅だ。

寸又峡温泉へは一番近い駅で、千頭から出る温泉行きのバスもこの駅に立ち寄り、列車との接続が有る。

千頭からなら約40分、ここからなら30分ほどの距離である。

 

 駅前の像は、原始人の生活振りを表現したものだ。

これは近くの町道改良工事の際、縄文時代遺跡である「下開土遺跡」が発見されて事に因んだもので有る。

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

南アルプスあぷとライン

 

駅は、1面の島式ホームに2線を有し、これまでに通って来た川根両国、川根小山と同様行違いが出来る。

井川線全線では、約半分の駅で行違いの出来る構造になっている。

しかし現在井川線は、一日数往復の運行しかないので、これほどの行違い駅は必要ないように思われる。

これは恐らく、ダム建設の資材や要員を頻繁に運んだ名残ではないかと、思ってみたりもする。

 

 

日本一 90‰を行くアプト式鉄道

 

ナロゲージ並みのトロッコ列車だけに、車内は天井も低く、非常に狭い。

座席は二人掛けのボックスシートと、反対側は一人がけの対面シートである。

二人がけとは言え、座席幅は随分と狭く、大人が座ると肩が触れ合う程で、通路に出てしまう程だ。

乗り心地も、お世辞にも良いとは言えない。

しかし車窓に展開する大井川上流域の渓谷美は申し分なく、座り心地など忘れさせてしまうほど堪能させてくれる。

 

アプト式鉄道

アプト式鉄道

アプト式鉄道

 

アプト式鉄道

アプト式鉄道

アプト式鉄道

 

アプト式鉄道

アプト式鉄道

アプト式鉄道

 

 次のアプトいちしろ駅には、千頭駅からは40分程で到着する。

ここから、次の長島ダム駅までの間では、国内では珍しいアプト式鉄道が体験できる。

アプトいちしろ駅の標高は396mで、次の長島ダム駅は485m、この駅間はおよそ1.5Kmある。

その為この間には、1000mにつき90mも上がる(90‰)日本一の急勾配区間が待っている。

 

アプト式鉄道

アプト式鉄道

アプト式鉄道

 

アプト式鉄道

アプト式鉄道

アプト式鉄道

 

これだけの勾配が有ると、普通の機関車では力が不足し、車輪が滑ってしまう。

その為レールの間にラックレールを敷き、機関車の車輪の間にある歯車とそれとをかみ合わせて進む様にする。

その特殊な車輌が、ED90形の機関車で、最後尾から後押しをする。

この駅では、そんな機関車が連結される模様を間近で見学する事が出来る。

 

 

大井川水系唯一の多目的ダム 長島ダム

 

 アプトいちしろ駅前から対岸に延びるのが、産業遺産に指定されている「市代吊橋」である。

昭和11年、大井川ダムの建設に伴い、木材の流送目的で、鉄道用吊り橋として建設されたものだ。

径間106.74m、幅員2.12m、重量制限8トンという吊り橋である。

鉄道が井川まで延伸されるに当り、ルートが変更になり、以後は生活道路に転用されている。

 

アプト式鉄道

アプト式鉄道

アプト式鉄道

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

 ダムの建設に伴い、大井川河畔を走る大井川鉄道の、川根市代駅から川根長島駅間が水没する事となった。

このため平成2年、井川線を存続させるために、この4.8qの間の付け替え工事が計画された。

しかし、市代駅から長島ダムの右岸までは、結果的に距離が短くなり、直線的に登る急坂となってしまつた。

その解決策として導入されたのが、このアプト式の鉄道である。

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

列車は歯車の噛み合わせを確かめるように、ゆっくりと、ゆっくりと車輪を軋ませながら急坂を上る。

その勾配は、運転席から前を見ても十分に認識出来る程の傾きで、その頑張り振りがよく解る。

線路の付け替えにより、ダム横に設けられた長島ダム駅までの間は、ハイライト区間の一つとなった。

井川線はその後、「南アルプスあぷとライン」の愛称で呼ばれるようになった。

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

長島ダム

長島ダム

長島ダム

 

高さ109m、幅308mの巨大な、重力式コンクリートダム・長島ダムが右手に見えてくる。

水力発電は行わず、洪水の調節や工業用水の確保など、大井川水系では唯一の多目的ダムである。

周辺には、公園や散策路が整備され、間近でこの巨大なダムの水煙を浴びる事が出来る。

特にダム直下に架かる「しぶき橋」は、豪快な放水が水飛沫を浴びながら間近で見られと、人気のスポットらしい。

 

アプト区間は数分で終わり、ここ長島ダム駅では、最後尾の機関車の切り離し作業が行われる。

身軽になったトロッコ列車は、いよいよこの路線のもう一つのハイライト、奥大井湖上駅に向かう。

 



 

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