風待ちの港 深浦

 

深浦は、かつては北前船のふるさと、風待ちの港として栄えた町である。

すぐ前に大岩海岸が迫っていて、ホームからもそのシンボル、大岩を見通すことが出来る。

駅から徒歩圏内には、太宰治縁の宿や、北前船を紹介した施設「風待ち館」などが有る。

 

狭いホームが観光客で賑わう中、 「リゾートしらかみ・クマゲラ号」が静かに到着した。

クマゲラは、白神山地に生息する日本最大級のキツツキで、この列車は2006年に登場した新しい編成の列車である。

車両前面の黒と赤でクマゲラを、ボディに引いた赤と黄のラインで沿線に沈む夕日をイメージしたデザインだ。

 

深浦

 深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

クマゲラ号が深浦に到着すると、反対側のホームには「リゾートしらかみ・青池号」が先着して停車していた。

人気のリゾート列車、3編成の内二つの列車が島式ホームの両側に停まっているとあってホームは大混雑である。

降りて出口に向かう人、乗り換えを急ぐ人、写真に収めようとカメラを手にホームを走り回る人等が慌ただしい。

白い制服に身を包んだ観光駅長も、しきりに愛嬌を振りまき、記念の写真に納まったりしている。

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

五能線沿線の主要な駅では、観光バスツアーの団体客の乗り降りが非常に多いようだ。

これらは全線を通して乗るわけでは無く、所謂絶景区間だけの鉄道利用で、後は全てバス移動である。

その為、数少ない列車が到着する度に、バスから列車、列車からバスへの乗換え客がホームで錯綜する。

どの駅のホームも構内も駅前も、手旗に導かれた多くの人々でごった返す、お馴染みの光景を繰り広げている。

 

 

海岸線 ギリギリの線路

 

深浦から普通列車に乗り、この先の千畳敷駅を目指す。

ここから先、列車は益々海に近く、海岸線ギリギリを走るので、冬の荒れた日本海を見るお勧めの路線らしい。

すでに傾き始めた陽を受けた海は、茜色に染まり始めていて、この時刻帯の景観も見物らしい。

海岸からそそり立った奇岩怪石も多く見られ、黒いシルエットと成って幾つも後ろに飛び去って行く。

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

 次の広戸駅、更に追良瀬駅と停車するが、何れも小さな無人駅で、乗客の乗り降りは無い。

追良瀬駅を出てすぐの海岸には、像が水浴びをしているように見える岩も有り、面白い。

海岸線は車窓のすぐ下まで迫っていて、岸辺には波消しのブロックが堤防よりも高く積み上げられている。

今の様子からは、想像すら出来ないが、冬の荒れ様は相当なものらしい。

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

深浦

深浦

深浦

 

次の轟は、ホームから日本海に沈む夕陽が眺められるとあって、人気の駅らしい。

「青春18きっぷ」のポスターで紹介され、全国的に知名度が上がったらしい。

更に風合瀬(かそせ)、大戸瀬と、海に所縁のある駅名が続く。

 

 

茜色に染まる海岸は 朝陽も又美しい

 

深浦からは30分ほどで、千畳敷に到着する。

駅の前に、大地震で海底が隆起して出来たと言われる広大な岩畳の海岸が広がっている。

その昔、津軽のお殿様は、ここに千畳の畳を敷き詰めて宴を催したと言う。

そのことから名付けられて海岸は、「日本の夕日百選」に選定された夕日の絶景ポイントである。

付近には太宰治や大町桂月の文学碑も有る。

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

既に日没の時刻を迎え、水平線に近付いた夕陽が、林立した岩の間に挟み込まれるように落ちて行く。

千畳敷の岩棚も、その上で羽を休める海鳥の胸も、赤く赤く染めあげて、夕陽がぐんぐん沈んで行く。

そんな夕刻の、つかの間のショータイムに合わせるように、列車がゆっくりと進んで行く。

上りの「リゾートしらかみ・橅号」が、大きく汽笛を響かせて、千畳敷の駅を通り過ぎて行く。

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

夕日と海

自千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

千畳敷海岸

千畳敷海岸

千畳敷海岸

 

 夕陽は、岩の窪地の海水溜まりに、その茜の姿を眩しく映しながら、少しずつ沈んで行く。

空は刻一刻と青みが深く成り、空に浮かぶちぎれ雲が、濃い灰色に変わって行く。

辺りがどんどん暮れなずみ、岩礁が黒くシルエットになって行く。

 

そんなショーを見んと、広い岩畳にポツンポツンと佇む人影が、何時しか黒い塊となり辺りに溶け込んで行く。

時折カップルの乗った車が、岩畳の上に走り込んで、海に向けて進んで行く。

束の間のショーも、やがて暗闇の中で幕を閉じる。

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

 この日の宿は、千畳敷駅前にある民宿・望洋館である。

ここに泊る目的はなんと言っても、千畳敷を真っ赤に染めて夕陽が沈む、日没のショーを見ることだ。

夕べ、燃え上がってジュッと音を立てるかのように日本海に沈んだ夕陽が、また海から真っ赤になって戻って来る。

ここは日本海に突き出た大戸瀬崎に有り、夕陽と朝陽のショーが、贅沢に二度も楽しめる。

 

 

美味を求めて 陸奥赤石駅

 

 朝8時台の弘前行きに乗り、次の目的地を目指す。

下りの始発は通勤・通学向けで有ろうか、6時台にあり、次がこの列車で主に観光客向けであろう。

更に次は10時台で、これは通院者向け等と勝手な想像をしてみるが、何れにしても午前中はこの3本のみである。

とは言え、他にこの駅から乗車する客は無く、乗り込んだ車内も閑散としていた。

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

 北金ヶ沢を出て、陸奥柳田を過ぎた辺りで、車窓に津軽の名峰・岩木山が見え始める。

別名「津軽富士」と称される岩木山を、津軽の人々は畏敬の念を込めて「お岩木やま」と呼んでいる。

山頂には白い雲が掛るものの、緩やかに裾野を伸ばすその美しい円錐形の山容は、見飽きることがない。

ここからは車窓の共と成り、列車が海を離れ内陸部に入り込んでも離れることは無く、その姿で楽しませてくれる。

 

千畳敷

千畳敷

千畳敷

 

千畳敷

千畳敷

陸奥赤石

 

陸奥赤石

陸奥赤石

陸奥赤石

 

 小さな木造駅舎の有る1面1線の無人駅、陸奥赤石で途中下車をする。

他に誰もホームに降り立つ人は無く、勿論乗り込む客もいなかった。

ここは駅のホームにも、待合室にも、その駅前にも、人の流れは全くなく、車も通らない静かで寂しい町である。

美味を求めてこの駅で降りてみたが、目的の場所までは、ここから暫く歩かなければならない。

 

 

焼きイカ通り

 

 低い屋並みの続く通りを海に向かって歩き始めると、所々民家の切れ目から、岩木山がその姿を現す。

津軽平野に聳え立つ1,625mの二重式火山はほぼ独立蜂で、この辺りなら何処からでも臨む事が出来るようだ。

その山頂は三つの峰に分かれているので、その見る方向により、違う顔に見えると言う。

 

 陸奥赤石の駅から歩くこと20分ほど、町並みを抜けると左手に海が近づいてくる。

海辺を緩くカーブする国道の先に、何軒かのカラフルに塗り分けられた店が見えてきた。

 

焼きイカ通り

焼きイカ通り

焼きイカ通り

 

焼きイカ通り

焼きイカ通り

焼きイカ通り

 

焼きイカ通り

焼きイカ通り

焼きイカ通り

 

草の上にいろいろな家

焼きイカ通り

焼きイカ通り

焼きイカ通り

 

焼きイカ通り

焼きイカ通り

焼きイカ通り

 

焼きイカ通り

焼きイカ通り

焼きイカ通り

 

近づいてみると、道路に面した空地には丸太で組まれた棚があり、そこにずらりとイカが干されている。

まるで白いカーテンのように見えるが、店先にはイカに混じって太いタコの足も吊るされている。

 

 潮風に乗って、どこからともなくイカを焼く醤油の焦げる良い匂いが漂って来る。

この地はその名もズバリ、「焼きイカ通り」だ。

ここには近海で上がった新鮮なイカを、炭火で焼いて食べさせてくれるお店が10軒余り国道沿いに並んでいる。

 

肉厚の身は、マヨネーズを付けて食べると堪らなく美味い。

包丁で切れ目を入れるより、手で裂くか、そのままかぶりついて食べる方がより美味しいらしい。

それは、一度には食べきれないほどのボリュームが有るのに、安いのが何とも嬉しい。

 



 

| ホーム | 国内の旅行 | このページの先頭 |

 

(c)2010 Sudare-M, All Rights Reserved.

 

inserted by FC2 system