海の駅・わんど
鰺ヶ沢の市街地からは少し外れた、漁港を望む海沿いに広い駐車場を備えた「海の駅・わんど」は有る。
ここには新鮮な海の幸や、採れたての山の恵み、その加工品を初めとする地元の物販店がある。
地元の人が、地元産品に拘って作るお餅やお寿司が人気らしい。
また観光案内所や無料休憩所、お食事処、カフェなども併設されている。
ここでの注目は、写真集が出たり、映画化されたりで更に話題を呼んでいる「わさお」関連グッズだ。
ブサかわ秋田犬として人気の高い「わさお」は、鰺ヶ沢町のイカ焼き店の看板犬だ。
最近では鰺ヶ沢町の「特別住民票」が交付され、その写しはここで、300円のお土産として販売されている。
他にもTシャツ、クリアファイルや置物、名前を冠したお菓子類と豊富な品揃えである。
中には本人(本犬)の抜け毛の入った「しおり」成るものまであり、その人気のほどが窺える。
その建屋の二階には、郷土出身力士の活躍を紹介する「鰺ケ沢相撲館 舞の海ふるさと桟敷」が併設されている。
主に、当地出身の小兵力士、技のデパートと言われ活躍した元小結・舞の海関に纏わる品々が展示されている。
化粧まわしや、トロフィー、軍配などの展示、パネルでの説明や、ビデオの放映などが行われている。
ここ鰺ケ沢は、昔から相撲の盛んな土地柄らしい。
鰺ヶ沢
五能線の途中駅鰺ヶ沢は、相対式ホーム2面2線を有する駅で、委託ながら駅員が駐留する。
ここには「リゾートしらかみ」も停車する。
日本海に面した古くからの港町で、「鯵」の漁獲高が多いことからこう呼ばれるようになった。
三角屋根が印象的な鰺ケ沢の駅を出ると列車は海と離れ、東に進路を変え内陸部へと入って行く。
車窓からの眺めは、豊かな米どころの津軽平野の穀倉地帯の遥か先に、岩木山が付かず離れずに展開する。
鳴沢、越水と小さな無人駅を過ぎ、さらに陸奥森田、中田、木造に停車する。
木造は亀ヶ岡遺跡から発掘された土偶をモチーフにした駅舎が知られているが、残念ながらホームからは見えない。
太宰ゆかりの五所川原
鰺ヶ沢からは凡そ30分で五所川原に到着する。
五所川原は、青森県の西部に位置する人口6万人ほどの市である。
島式1面2線の駅には、日本で一番北を走る民間鉄道の津軽鉄道・津軽五所川原駅が併設されている。
ここ五所川原からは凡そ1時間に1本、奥津軽と呼ばれる津軽中里までの20.7Kmを、40分ほどで結んでいる。
オレンジ色の新造車両は、「走れメロス号」と呼ぶらしい。
車内のダルマストーブで、するめを焼きながら奥津軽の厳しい冬を体験する「ストーブ列車」は人気だ。
また、夏の「風鈴列車」、秋の「鈴虫列車」、さらには「正月列車」、「合格列車」など、ユニークな列車もある。
多彩な列車の運行は、季節の風物列車として、しばしばマスコミなどに取り上げら、全国的にも良く知られている。
沿線の中心駅金木には、小説家・太宰治にゆかりの名所も多い。
駅から5分ほどの生家である「斜陽館」は、記念館として有料で公開されているらしい。
また芦野公園は桜の名所で、国の文化財に登録された旧駅舎も残されていると言う。
太宰の根強いファンや、鉄道ファンには人気のローカル私鉄らしく、一度は乗ってみたいが、今回は時間が無い。
立佞武多の館
駅前から真っ直ぐに延びる道を5分ほど歩くと、巨大なガラス張りのモダンな建物に行き当たる。
有名な五所川原の伝統行事、色も鮮やかな「立佞武多」が、三台展示されている「立佞武多の館」だ。
入館料600円を払って館内に入ると、1階から4階までぶち抜いたその巨大な空間に先ず驚かされる。
立佞武多祭りは、毎年8月の初めに開催されるお祭りである。
その時に町中を引きまわされるのがこの館に展示されている「立佞武多」だ。
それは、高さ約22m、幅6m、重さ何と18トンと言われる巨大な山車である。
山車にはそれぞれにテーマが設定してある。
日本の歌舞伎や中国の三国志等の歴史上の人物や、それに因む動物などを、原色でカラフルに表現している。
以前は木や竹で骨組みを作りそれに紙を貼り、色付けをし、ろうそくで明かりをともしていた。
それらは、祭りが終わると解体し燃やしてしまう時期も有ったようだ。
最近は鉄骨でベース分を作り、各部分はそれぞれパーツ化して制作、それを組み上げて行き、再利用もあるらしい。
作り方等は、時代と共に変遷が有り、明かりも電灯が使われる事が多くなったそうだ。
館内の見学はまずエレベータで4階まで上り、そこからは展示空間を取り巻くように作られたスロープを下る。
こうすれば同じ目線でじっくりと「立佞武多」を見ながら、ゆっくりと楽に1階まで降りる事が出来る。
最上階には、展望ラウンジがあり、ガラス張りの明るいレストラン「春楡」が併設されている。
津軽平野の眺望を眺めながら、郷土料理満載の「おらほの定食」や「けの汁和定食」等を味わってみたい。
憧れのローカル線
五能線は、その終点が奥羽本線と接続する川辺だが、殆どの列車はそのまま弘前に向かいそこが終着となる。
弘前からの上り線も事情は同じで、鰺ヶ沢までの区間運転は多いが、そこから深浦までの間はほぼ半減する。
季節運行の「リゾートしらかみ」もあるがこれは快速で、この間の停車は千畳敷だけで、それも1便しかない。
五能線では日本海に一番近いとまで言われる区間が、一日五往復ほどで、実は一番便利が悪い。
津軽半島の玄関口・五所川原で、次の列車までの2時間待ちを利用して「立佞武多」を堪能した。
この後はここから弘前を経由して、更に奥羽本線で大館に向かい、花輪線に乗換えその乗り潰しを目指す。
途中の板柳には、昭和9(1934)に建てられた味のある駅舎が、まだ現役で残されている。
ホームにりんごの里と書かれていたとおり、次の林崎にかけての間は周辺一面にりんご畑が広がっている。
五能線の前半は日本海の広がりと海辺の奇岩怪石を、後半は津軽の秀峰・お岩木やまと名産のりんご畑。
沿線には世界遺産の豊かな自然が有り、温泉も有り、そして豊富な海の幸山の幸に恵まれて旅人を飽きさせない。
加えて素朴な人情もあり、「憧れのローカル線・五能線」は、その評判通りの額面は、決して期待を裏切らない。
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