温泉宿坊の有る寺・安楽寺
第6番札所・安楽寺までは、その距離約5.3q、凡そ1時間15分ほどの道程だ。
右に徳島自動車道を見る淡々とした道で、すぐ横を軽快なスピードで行き交う車を横目に、ただひたすら歩く。
歩道も有り歩きやすいが、春とは言え日差しは結構強く、歩き続けると額にはうっすらと汗が滲む。
次第に会話も減り、杖を突くコツコツと言う音だけが歩道に響いている。
安楽寺は、その山号を温泉山と言う。
名の通り現在でも寺の境内には温泉が湧き出ていると言い、宿泊の出来る400年の歴史を持つ宿坊ではその温泉も楽しめる。
竜宮の門のような山門には、京都の大仏師の手になる仁王像が納められている。
境内の庭園には立派な錦鯉が沢山泳いでいる。
眼病に霊験あらたか・十楽寺
次ぎの7番札所・十楽寺まではおよそ1q、15分ほどと直ぐそこだ。
かつては現在地より北に3qほど入った十楽寺谷という所にあったらしいが、寛永年間に現在地に移っている。
先ほどお参りした安楽寺の山門とよく似た赤い山門が面白く、その名も竜宮門と言うらしい。
門をくぐると正面に赤い前掛け姿の水子地蔵が祀られていて、その横の階段を上った先に本堂が建っている。
本堂に左側にある「治眼疾目救歳地蔵尊」は、古くから眼病や失明した人たちに霊験があらたかとされていて、治療に悩む信者の参拝が多いのだそうだ。
また「愛染明王」は、良縁を結び、悪縁を絶つ両方にご利益があると言う。
最大級の仁王門・熊谷寺
第8番札所・熊谷寺には、四国霊場の中でも最大級と言われる仁王門が誇り立っている。
和様と唐様が折衷して造られた山門は、徳島県の有形文化財に指定されている
間口がおよそ9m、高さは12m余りあり、江戸時代に建立された堂々たる門で風格が感じられる。
境内は広く、中門を潜り更に石段を登り詰めると本堂がある。
本堂の左手に36段ほどの石段があり、それを登ると県の文化財に指定された大師堂だ。
境内のいたるところからこの寺のシンボルのような、江戸時代に建立されたと言う多宝塔を望むことが出来る。
高さ20m余り、端正な姿で佇む姿は美しく、四国霊場の中では最大最古の塔で、県の文化財の指定を受けている。
ここで予定していたお昼で有ったが、生憎の日曜日とあって目当ての店はお休みだ。
周辺に代替えの店もなく、このまま空腹を抱え、次の札所に向うより仕方ない。
健脚祈願・法輪寺
熊谷寺でやや上がった標高は、これから下りに転じ第9番札所・法輪寺に向かう。
その距離およそ2.5q、途中で徳島自動車道を越え、30分ほどの田畑のなかを行く穏やかで平坦な道程である。
四国八十八カ所の札所巡りもこれまでに、標高を上げたのは4番・大日寺と8番熊谷寺位で、あとは比較的楽な道で有った。
先ずは小手調べ、ウオーミングアップと言った感がある。
法輪寺は、鐘楼門を潜ると築地塀に囲まれた境内で、正面に本堂と大師堂が並んで立っている。
寺は昔から、足腰健脚の祈願寺として知られている。
松葉杖の参拝者が、参道の中程で急に足が軽くなり、杖を使わなくても歩けるようになったとの言い伝えがあるらしい。
その為本堂には沢山の草鞋が奉納され、健脚お願いの草鞋お守りが販売されている。
山の中腹・切幡寺
次の札所までは3.8キロで凡そ1時間程の行程は、最後に切幡山の中腹、155mの地点までの山登りが待っている。
道は土成町の田畑の中の道から、切幡山の山裾に沿うように北に向け曲がり、そこで山に向に向かい徳島高速道路を越える。
やがて山裾に、真新しい仁王門が見えてくる。
潜ると本堂まではおよそ300m、高低差が100m有る女厄坂や男厄坂など333段の石段が待っている。
急な階段は、歩き疲れようやくたどり着いた参拝者を、遍路道を歩く覚悟を試すかのように苦しめる。
上り詰めると左手に方丈・納経所が有り、正面が本堂で、その右に大師堂がある。
国宝に指定された大塔辺りが一際の高所になっていて、ここからは目の前に雄大な四国山脈を望み、眼下に吉野川のゆったりとした流れを見ることが出来るらしい。
この雄大な眺めは、ここまで頑張って歩いて来た遍路へのご褒美のようなものだ。
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