土佐白浜海岸
JRの土佐佐賀駅を過ぎると、伊与木川が太平洋に流れ出す鹿島が浦にやって来た。
目の前に鹿島の見える折角の景観なのに、相変わらず空は鈍色で、小さな粒の雨が間断なく降っている。
ここ黒潮町の佐賀漁港は、カツオ漁獲量で日本一を誇っている。
19屯以上のカツオの一本釣船、15隻が所属する、「佐賀カツオ船団」の母港として知られた港だ。
遍路道でもある国道は海が近く、土佐くろしお鉄道中村線と併走している。
この辺りは山が海岸近くまで迫っているので、狭いところに道路も鉄道も集約されている。
途中、佐賀公園駅を過ぎた辺りの国道脇でドライブインを見付け、昼には少し早いが昼食休憩とする。
飲料水だけで、食料を持ち歩いてはいないので、時間に関係なく、見付けたときに利用するのは鉄則である。
四国はコンビニが少なく、飲食店の余り多くは無いので、これまでにも喰いそびれたことは何度もある。
沿線には土佐西南大規模公園や、白浜海岸等、海の名所が多くある。
そこは奇岩怪石の断崖や、荒々しい変化に富んだ海岸線等で、太平洋を望む風光明媚な景観が展開する。
しかし生憎の天気は如何ともしがたくて、視界は優れず、雲は重く、海の色も灰色に染まったままだ。
それでもやはり海辺の道は開放的で、歩いていても飽くことを知らない。
鯨と出あえる町
土佐白浜駅を過ぎたところで鉄道から分かれ、その先の灘漁港の辺りで遍路道は、一旦海からは離れる。
ここ灘漁港は、定置網漁の盛んなところらしい。
ここら辺りの海洋では、“鯨と出あえる町”として、ホエールウオッチングに力を入れているらしい。
沿岸海域の沖合では春から秋にかけて、ニタリクジラやハンドウイルカやマイルカ、ハナゴンドウといったイルカの遊泳を見る事が出来ると言い、そのためか周辺には観光客目当ての民宿も多い。
井の岬の付け根を320mの井の岬トンネルで潜り、峠道を下ると伊田浦で左手には再び海が近づいてくる。
伊田漁港は、江戸時代に土佐藩奉行の野中兼山が築造したとされ、高知の港はこのような伝承が多いようだ。
ここも古くから定置網が盛んで、伊勢エビの漁獲が多いという。
道の駅ビオスおおがた
夏には海水浴場となる浮鞭海岸には、広大な砂浜が広がっている。
その少し先に公園施設や観光情報の案内施設を併設した「道の駅ビオスおおがた」が有る。
「ビオス」とはギリシャ語で「生命」の意らしいが、なぜギリシャ語なのかは良く解らない。
そこには地元黒潮町の物産を販売する「ひなたや直売所」や「ひなたや食堂」が有る。
その隣には情報館が併設されていて、地元幡多地区の観光情報や周辺公園の案内がされている。
入野松原には砂浜美術館が有り、周辺にはキャンプ場や、ホエールウオッチングの観光基地港などもある。
又、館内には、体長10メートル程のミンククジラの骨が天井からつるされ展示されている。
これはここ大方町の沖合を実際に泳いでいたクジラで、調査捕鯨で捕獲された。
それを入野砂浜に埋めて、6年後に骨格を掘り起こし展示したものだという。
海辺のレストランホテル・海にいます
道の駅を後に吹上川を渡ると先には、海に沿って入野松原と言われる松林を貫いて遊歩道が作られている。
遍路もその道を抜けることになる。
広大な松林の中には様々な運動施設やキャンプ場なども整備されている。
また付近には砂地を利用したラッキョウの栽培がされており、まるでみどりの絨毯を広げたように続いている。
今晩の宿、「ネストウエストガーデン土佐」はそんな畑に囲まれた小高い丘の上にある。
ネストとは英語で「巣」の事、来客を暖かく包み込みたいと言う思いが込められている。
目の前には総延長が4qにも及ぶ入野海岸の砂丘がひろがっている。
海辺のレストランホテルで、「私はいま・・・海にいます」が、このホテルのキャッチコピーだ。
そのホテルの特徴は何と言っても本館建物の外観だ。
それは18面体で構成された円筒形、「巣」をイメージしてのもののようだ。
その中心部分は、ハーブブレンダーが種から育てるハーブなどを植えた花壇に成っている。
円筒形の2階部分が客室で、それを巡る円形状の廊下の、どこからも中庭を見下ろすことが出来る。
更に建物の周りは広大な芝生の庭園になっており、その広さがゆったりと心を和ませてくれる。
食事は太平洋を望みながらレストランで頂く事になる。
風呂は温泉では無いが、サウナを併設した大浴場で、日帰り入浴にも対応している。
ガラス張りの浴場からも太平洋は一望だ。
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