カツオの町 枕崎
枕崎は人口が2万人余り、鹿児島県の薩摩半島南西部に有り、東シナ海に面した漁業の町である。
中でもカツオの水揚げは全国でも有数で、年間凡そ7万トン、「太陽とカツオの町」を名乗っている。
年間を通じて寒暖の差は小さく、平均気温は18℃、温暖で雨の比較的少ないところである。
JR枕崎駅前のバス停回りには、大きなスーパーやドラッグストアーが立地し、広い駐車場が有る。
道路に面した所には、観光案内所があり、その前に灯台のモニュメントが建っている。
「日本最南端の終着駅」と書かれているが、その反対側には「日本最南端の始発駅」とある。
枕崎は、日本最南端の始発駅で終着駅でもあり、旅情を誘う駅である。
終着駅は始発駅 JR指宿枕崎線 枕崎
何とも淋しい始発駅(終着駅)である。
駅舎も無い、待合室も無い、あるのは片側が線路に面した片面単式ホームと一本の線路だけだ。
到着した列車が、そのまま折り返すだけの何とも簡素な無人駅である。
嘗ては鹿児島交通の南薩線も乗り入れていた枕崎は、同線の廃止後駅舎は取り壊され、構内を明け渡した。
跡地にスーパーやドラッグストアーが建つと、簡素なホームが一面あるだけの淋しい駅に成り下がってしまった。
指宿枕崎線は、鹿児島中央から枕崎までの87.8キロ、JRでは最南端を行く路線である。
枕崎を発つ列車の本数は極めて少なく午前に2本、午後は凡そ2時間置きに4本の運行しかない。
その内の何本かは、鹿児島中央まで直通するが、残りは途中の指宿か山川止めである。
当然のことながら非電化区間なので、キハ40系のジーゼルカーが、たった1両で頑張っている。
JR最南端の駅 西大山
頴娃大川を過ぎると右前方に南薩摩のシンボル、開聞岳の形の良いシルエットが見え始める。
時折姿を見せる南シナ海の青い海、広がる田畑の先にぽっんと置いたような三角の山、これが車窓の趣だ。
開聞岳が次第に大きく成り、後ろに位置を変えるとこの路線のハイライト、JR最南端駅・西大山に到着する。
世に知れた人気の駅らしく、車で乗り付けたらしい何人かが、既にカメラを構えて列車の到着を待っていた。
ホームにはその案内標柱が建ち、背後に開聞岳が迫る絶景の撮影ポイントとして知られている。
ここでは僅かしか停車しないので、その間に列車を入れての三点セットのアングルを決めるのは難しい。
それでも何人かの乗客はカメラを持ってホームに降り、右往左往し、写真に収めようと走り回っている。
車掌は時折時計を見ながら様子を窺い、そんな乗客が車内に戻るのを確かめると出発の合図をする。
少し遅れたようだが、せかす風も無く、若干の余裕をくれるから、ローカル線ならではのサービスは有難い。
指宿温泉の玄関 指宿駅
車窓に、垂直に突き出した異様な形の山が見え始める。
地中のマグマが噴出の直前地表付近で固結し、その後周辺が浸食され地表に姿を現したと言われる「竹山」だ。
古来から修験道の修行の場として知られ、またソテツ自生の北限で、国の天然記念物に指定されている。
この沿線の周辺には、開聞岳を初め池田湖、竹山など活発な火山活動で形成された特徴ある自然が多いようだ。
右手に海が開け、ようやく高くなった朝日に照らされ、海面には縮緬皺の様な波がキラキラ輝いて見える。
薩摩半島の南東部、東の大隅半島に囲まれた鹿児島湾の出口近くに位置する港町、山川駅に到着である。
近年では鮪や鰹漁の基地、古くは薩摩藩の琉球や東南アジアなど、南方貿易の拠点湊として隆盛した町である。
今では観光港として道の駅を備え、大隅半島とを結ぶフェリーが定期運行している。
山川を出ると5分ほどで、指宿温泉の玄関駅・指宿に到着する。
単式と島式が1面有り3線を有する駅で、指宿枕崎線の中では、隣の山川と並び運行の拠点となっている。
有数な観光地らしくレンタカーやレンタサイクルの貸し出しが有り、観光案内所が情報提供を行っている。
「日本のハワイ」「東洋のハワイ」を名乗るらしく、駅を出るとその前には南国らしい樹木が植えられている。
駅を出て左手には、浴槽中央に艶めかしい裸像が建つ、無料で利用の出来る足湯がある。
ここでは近くに有る鰻温泉で蒸した「温泉たまご」が売られている。
鰻温泉は鰻池湖畔にある温泉で、指宿からなら車で15分ほどの距離である。
地区内に火山性の噴気孔が幾つもあり、そこから噴き出す蒸気利用したヘルシーな「蒸し料理」が知られている。
源泉は90℃近くあるそうで、たまごなら七八分で蒸し上がると言う。
砂むし温泉 砂むし会館・砂楽
駅ナカの観光案内所で教えられたとおり、駅前で東大川行きのバスを10分ほど待って乗車する。
池田湖行きでも立寄るらしく、本数も比較的多いので、帰りのバス時刻を気にする必要は無さそうだ。
駅の周辺に立地するホテルを見ながら、バスは東に進路を取り、駅から続く中央通りを行く。
南国らしい雰囲気のハイビスカス通りを経て、5分ほどするとバスは、「砂むし会館前」に到着する。
思ったよりも近かったが、歩けば30分近くはかかるらしい。
二階のフロントで入浴料900円を払い、浴衣を受け取り一階の脱衣所に向かい着替えを済ませる。
一旦館を出て海岸に下り、むし場に向かうが、海岸は海風が吹いていて、浴衣一枚の身には少し肌寒い。
気候が良く、潮が引いていれば波打ち際で楽しめるようだが、残念ながらこの日は全天候型のむし場だ。
指定場所に足を投げ出し横に成ると、すかさず持参したタオルで頭が覆われ、最初は身体の脇が固められる。
そして両脇に盛られた砂は徐々に崩され、身体に少しずつかけられ、やがてはすっぽりと全体を覆い尽くす。
すると、ずっしりとした重みが身体にかかると同時に、ホンワリとした暖かさが全身を優しく包みこむ。
5分もすると額から汗が出始め、10分もするとそれは全身に及んでくる。
聞けば、「この時期、砂は4センチ程掛ける、季節によりその厚みは微妙に調整する」のだと言う。
何処からか微かな寝息も聞こえていて、このまま寝てしまいたいような心地よさである。
医学的には10〜15分ほどが適当とされているので、15分ほどで身体を起こし、砂を払う。
その後は館に移動し、砂をよく落として浴衣を脱ぎ、内湯に浸かる。
この天然サウナは、老廃物の排出、ダイエット、美肌などの効果が期待されると言う。
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