塔のへつり

 

 会津鉄道の塔のへつり駅は、小さな無人駅であるが中々に雰囲気が良い。

周囲の紅葉は小さなホームに覆いかぶされように広がり、辺りを赤や黄に染め上げている。

シーズンに入り、列車で訪れる紅葉狩り客の混雑に対応するらしく、普段はいない駅員が出張り備えている。

ここでは10月中旬頃から紅葉が始まったらしく、11月に入りそのクライマックスを迎えている。

とはいえここに降り立つ客は限定的で、多くは大型の観光バスやマイカーで乗り付ける客が殆どだそうだ。

 

駅を出れば目の前には、見事に色付いた林が広がっていた。

はらはらと散る落葉の中、枯れ落ち葉をサラサラと踏みしめて歩く道が景勝地に向けて延びている。

歩いて5分ほどの道ではあるが、車で来れば通り過ぎてしまい、電車で訪れる人だけが味わえる特権のようだ。

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつりは「新観光名所福島三十景」の一つである。

「へつり」とは、断崖・絶壁・急斜面・川岸などの険しい道を言い表す地元の言葉だそうだ。

元々は海で、100万年以上も前から連綿と浸食と風化続けた結果生み出された奇岩が連なる景勝地である。

この特異な地形は国の天然記念物に指定されている。

周辺一帯は大川鳥羽県立公園の一角で、この時期は紅葉の名所としても知られている。

 

周辺の広い駐車場はどこも満車状態で、入りきれない車が道路には溢れている。

駐車に苦労している車上の人々をしり目に、土産物屋さんや食事処などが建ち並ぶ一帯にやって来た。

ここからは吊り橋を渡り、川の向こう岸に向かうために、広場を逸れ、坂を下っている。

その狭い道には、向かう人、帰る人の流れが切れ目もなく続き、大変な込みようである。

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

吊り橋では誰もが一様に一度は立ち止まり、意を決すると大きく一歩を踏み出し渡り始める姿が面白い。

人が多すぎ、重量制限は大丈夫?等と思いながらも、橋の途中で立ち止まり、写真を撮ろうとカメラを構える。

すると橋が大きく揺れるのか、嬌声があちこちで辺りの静寂を切り裂き、揺れることも楽しんでいる風だ。

 

一帯の木々は、黄色や茶色や赤色に色付き、そんな山肌に所々緑の交じった見事な迷彩色を見せている。

そんなグラデーションに、包み込まれるように白い奇岩の数々が林立し、存在感を示している。

その姿を縮緬を敷いた様な碧い水に映すさまは、まるで油絵を見るようで、見事としか言いようがない。

 


 

へつり工房 中の沢こけし

 

バスの団体客であろうか、土産物屋さんの店先には大勢の人が群がっている。

土地の名産・名物、漬物、お菓子や特産品などに、この時期ならではのキノコや果物が並んでいる。

中には、マムシ酒などと言うものまで並べられ、大勢の買い物客で賑わっている。

 

こういう団体では、だれか一人が何かを購入すると、それをトリガーに我も我もと続くと言う話を以前聞いた。

だから売る方も引き金を引こうと、必死の声を張り上げている。

 

 そんな一角に、お世辞にも客が群れ、繁昌しているとは言い難い、「伝統こけし岪工房」と言う店がある。

右手はガラス戸で仕切られた工房で「実演中」の看板が掛かり、正面に巨大なこけしが飾られている。

土湯中ノ沢系伝統こけしの工人、北村和弘・寿万子夫婦の店である。

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

「ちょっと見せて下さい」と声を掛けると、ガラス戸を開け工房から工人が出てきて対応してくれた。

「奥さんは、描採だけですか?」と聞けば、「いや、ろくろから全部」と工人が応える。

この工房は、大正14年生まれの奥さんのお父さんが始められたもので、その後を夫婦が継いでいると言う。

「昔は椿や槐も扱っていたが、今はイタヤカエデだけ」「跡取りもいないので 店番しながら、ほそぼそと」

そんな工人の言葉通り、手頃で土産としても買いやすい、尺以下のものが店先には並べられている。

 

 土湯系のこけしは、嵌め込みの頭、頭部に蛇の目の輪、前髪と鬢の間にカセと呼ぶ赤い模様が有る。

胴は中央がやや膨らんだ円柱状で、模様はろくろ線の組み合わせが特徴だ。

 

「首嵌め中の中断は、駄目にしてしまうことがある」

ろくろの回転を利用して頭を嵌めこむ作業は、一瞬の緊張技で、制作しながら店番をする苦労をこんな風に語った。

今では新作の地蔵こけしや、金が増える縁起物として、なめこの置物を木で手作りしていると言う。

また手軽なお土産としては、なめこストラップが人気だそうだ。

 

 

湯西川 橋梁と温泉駅

 

会津鉄道の列車に乗り更に南下、途中会津田島で乗り換え、そのまま野岩鉄道線に乗り入れる。

やがて湯西川を跨ぐ湯西川橋梁を渡り、列車は湯西川温泉駅に向かう。

ここは利根川水系上流域の男鹿川と、その支流である湯西川の合流付近である。

一帯は五十里湖と呼ばれるダム湖となっていて、関東近辺では知られた観光地でもある。

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

列車はその湖を跨ぐ湯西川橋梁を渡る。

鉄橋近くの高台には、野岩鉄道の会津鬼怒川線の開通記念の立派な石碑が建っている。

その横には「将来の保守・維持費を軽減する耐候性鋼材を使用した無塗装橋梁」と書かれた説明板もある。

 

橋梁は斜材の向きを交互に渡した、垂直材がないトラスト橋と言われる構造だ。

紅葉する山を背景に、濃いチョコレート色の際立つ美しいフォルムを見せている。

この時期は、周りを取り巻く紅葉と、その陰を移す湖、そして鉄道の撮影スポットとしても知られた存在らしい。

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

列車は橋を渡り終えると、速度を落としながら葛老山トンネルに入る。

と、するとすぐにブレーキが掛かり、停車する。

そこには、一面一線のホームを有する、珍しいトンネルの中に窮屈そうに造られた駅のホームが現われる。

今晩の宿を予約した湯西川温泉の玄関口、湯西川温泉駅である。

イルミネーションに飾られた通路を通り、階段を上がると地上に小さな駅がある。

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

駅前にはチョットした広場が有り、タクシーやバスのターミナルになっている。

駅舎は、道の駅湯西川の端を間借りしているように存在していた。

目の前に五十里湖(いかりこ)が広がり、錦秋の山々に囲まれた絶景のロケーションに位置している。

ここは、湯西川温泉を初めとした栗山地区の観光拠点でもある。

 

 

道の駅 湯西川 

 

道の駅・湯西川は標高600m付近にあり、目の前に五十里湖(いかりこ)が広がっている。

ここには、水陸両用バス「ダッグツアー」の乗り場が有り、一日5便ここを発着拠点として運行されている。

道の駅を発して、一般の道路を進み、そのまま湖岸から湖上に乗り出す醍醐味が人気を呼んでいるらしい。

目の前にほぼ満席の乗客を乗せたバスが、帰ってきた。

 

館の二階は天然温泉が夜8時まで楽しめる日帰り入浴施設で、館の前には無料で利用できる足湯もある。

この時期なら水陸両用バスでのダム湖探検ツアーで冷えた身体を温めるには丁度良いのかもしれない。

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

湯西川 温泉駅と道の駅

 

道の駅の売店では、地元の野菜や果物、キノコ、名物お菓子、日光ゆばや漬物等が売られている。

名産イチゴを練り込んだパンや、珍しいサンショウウオの燻製などと言ったものも並べられている。

地元産食材を使った食事を提供する食堂が併設されていて、ここではダムカレーが人気らしい。

館内には喫茶スペースもあり、その前には観光案内所も設けられている。

 

表の屋台では、鹿肉コロッケ、イワナの塩焼きが香ばしい匂いで食欲を誘っている。

うるち米をつき固めた団子を焼いて、砂糖味噌を塗した郷土料理「ばんだいもち」なども売られている。

これは会津地方のじゅうねん(えごまみそ)を塗る「しんごろう」と言う郷土料理と同じようなものらしい。

 

湯西川 温泉

湯西川 温泉

湯西川 温泉

 

湯西川 温泉

湯西川 温泉

湯西川 温泉

 

湯西川 温泉

湯西川 温泉

湯西川 温泉

 

 道の駅は、この周辺の観光拠点で、湯西川温泉に行くバスが発着している。

嘗ては秘境の趣があった湯西川温泉は、ダム湖が出来、道路の付け替えが行われアクセス道が改善した。

その温泉までは、日光交通のバスが快適な道路に運行していて、凡そ30分の行程である。

又、水陸両用バスの発着場にもなっていて、川治温泉・鬼怒川温泉に向かうバスは一日四便運航されている。

 



 

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