湯西川温泉

 

 「下野の国・湯西川は、平家落人の安住の地と定めたるところなり」

 

壇ノ浦合戦で源氏に敗れ海の藻屑と散った平家一族は、源氏の厳しい討伐を逃れ各地に散った。

そして生き残った公達は、ひっそりと息をひそめるような忍従の生活を各地で強いられたのだそうだ。

そんな伝説は、全国各地に幾つも伝えられていて、ここ湯西川もその一つだ。

 

平重盛(清盛の長男)の六男・忠実も落ち武者の一人で、落ち延びた先がこの地だと伝えられている。

落人は険峻な渓谷の僅かに開けた里に、丸太で小屋を造り山を耕し、拓いた畑でそばや粟稗を作り糧とした。

狩人となって熊や鹿や野兎、野鳥や川魚などを獲り、ひっそりと隠れるように住み永らえて来たのだと言う。

 

湯西川温泉

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湯西川温泉

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湯西川温泉

湯西川温泉

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湯西川温泉

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湯西川温泉

湯西川温泉

湯西川温泉

 

 この地に落ち延びた一族には、切ない伝説が語り伝えられている。

女性が出産し、その喜びで端午の節句に鯉のぼりを上げたが、それが目印になり源氏方に見つかってしまった。

以後一族は、節句でも鯉のぼりをあげなくなったと言う。

それどころか、鬨を告げる鶏は飼わない、吠える犬は飼わない、煙の上がる野焼きはしないと申し合わせた。

更に足跡は残さないなどと厳しく諫め、それらの習慣の一部はまだ引き継がれているのだそうだ。

 

それから400年を経て、天正年間に、落人の子孫により発見されたのが「湯西川温泉」の始まりとされている。

ここには「温泉発見伝説」も残されている。

 


 

平家の里

 

 温泉街を貫く県道は、湯平橋を越えると賑わいの中心地を離れ山に向い緩やかな登りに転じる。

暫く行くと右手、石段を上った丘の上の鬱蒼と茂った林の中に「高房神社」がある。

逃れてきた平家の落人たちがその身分を隠すため、鎧や兜、武器などを埋めた「平家塚伝説」の残る古社だ。

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

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ここを更に上って行くと「平家の里」がある。

嘗ての平家の華やかな雰囲気や、その後の落人の生きざまを今に伝える場所として、復元保存された施設だ。

入り口には栄誉栄華を誇るかのように、家紋を染め抜いた紫色の幕が下げられた立派な冠木門が立っている。

 

周りの自然林をも取り込んだ園内は、山沿いの傾斜地を利用して作られている。

中央に小川の流れる庭園が有り、それを取り巻く様に藁葺きの民家が配置され、屋内が展示施設となっている。

「調度営みどころ」では、この地に昔から伝わる木工づくりの道具や手順などが紹介されている。

「床しどころ」は、都で栄華を誇った平家一門の様子、出陣や遊びの様子が人形などで表現されている。

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

平家の里

平家の里

平家の里

 

 園の最奥には、山口県下ノ関の赤間神宮から分祠された赤間神宮が祀られている。

壇ノ浦の合戦の折、二位の尼と供に僅か八歳の御年で赤間が関で崩じられた安徳天皇の菩提を弔っている。

毎年六月にはこの社を中心にした「平家大祭」が行われる。

武者による出陣式や、煌びやかの衣装に身を包んだ平家絵巻行列が賑やかに練り歩くのだそうだ。

 

 そのほかにも園内には落人たちが身を隠すため、鎧や兜などを埋めたと言う「平家塚」がある。

又鹿の飼われた「鹿園」、物品の販売所、甘味処などが整備されている。

 

 

湯西川温泉 白雲の宿・山城屋

 

温泉街は湯西川の渓流沿いに開け、町の中心を県道249号線が貫いていている。

そこは車の通行も多く、そんな車を避けるように歩く観光客らしき姿もチラホラと見受けられる。

通りには、ソバや湯葉などを提供する食事処や民芸品店、土産物屋も多い。

 

周辺には古社や平家ゆかりの「平家の里」「平家落人民族資料館」「平家狩人村」などが有る。

「秘境・落人の里」を謳っているが、町の雰囲気は落人の里と言う悲壮感も無く、ありふれた温泉街そのものだ。

嘗ては険峻な山越え道で辿り着く秘湯であったらしいが、今は道も整備され、そんなイメージは何も感じられない。

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

この地の宿の食事処には、囲炉裏が用意されているところが多いと言う。

串に刺した食材を囲炉裏の火で炙って食べる、平家の時代から伝わる伝統の囲炉裏料理を提供しているのだ。

山菜やキノコ、日光にも近い事から湯葉やコンニャク、イワナの塩焼きや、郷土食の「ばんだいもち」もある。

 

囲炉裏で炙って食べる「味噌ベラ」は、一升ベラとも言われ、此れで酒一升が飲めると言われる逸品だ。

鹿や熊、野鳥などの肉をたたき、山椒や自慢の味噌などと合わせ味付けしたものを竹べらに付け火で炙り食す。

日本酒を竹の筒に入れて燗をする「竹酒」も提供され、これとの相性は抜群らしい。

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

 湯西川温泉は、県道249号線やその奥を流れる渓谷に沿って、大型の観光旅館やホテルが多く立地している。

これらの中には、平家を彷彿さすような屋号を付け、平家ゆかりを名乗っている宿も少なくはないらしい。

宿は押し並べて高級そうな構えで、多くは渓流沿いに設けた温泉露天風呂を自慢としているとも聞いた。

が料金設定は、リーズナブルなものもあり、又、地域内には民宿も何軒かあるので選択肢は広い。

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

湯西川温泉 山城屋

 

 この日泊った宿は、温泉街の中程にある、「白雲の宿 山城屋」である。

渓流沿いにある二カ所の露天風呂と、貸し切り風呂は天然温泉である。

食事処も部屋食でも、囲炉裏を囲んでジビエ料理・平家鷹狩り料理が自慢の宿だ。

 



 

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