レインボーブリッジ 奥大井湖上駅

 

トロッコ列車は、付け替えられたアプト式鉄道の急坂区間を過ぎ、後押しする機関車を長島ダム駅で切り離した。

身軽に成った列車は、湖に架けられた赤い橋を軽快に渡り、暫くするとその途中、湖の上で停車する。

橋の中程が何と、千頭から数えて10番目の小さな無人駅、奥大井湖上駅である。

 

この駅は、付け替えられ新線に移行の折、新駅として誕生した。

当然周囲に民家はなく、勿論アクセス道路も無い、陸の孤島のような位置に立地している。

向こう岸には、このダムの建設により水没、廃線となった旧線のガードやトンネルも見えている。

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

エメラルドグリーンに輝く水面に、山影を静かに映す湖は、長島ダムの建設により出来た接阻湖である。

ダム湖にせり出した半島のような所で、第三橋梁(283m)と第四橋梁(191m)の中間にその駅は有る。

ここは標高490m、湖底からの高さ70m余り、「レインボーブリッジ」と呼ばれる474mの美しい橋上である。

橋には歩道も併設されているので、県道388号線方面からハイキングでも来られるらしい。

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

奥大井湖上駅

 

乗客は僅かな停車時間に写真を撮り、手摺から身を乗り出すように下を覗き、その高さに歓声を上げる。

そんな乗客達の嬌声すら、包み込んでしまう程に静寂に支配された駅である。

湖面を渡る風がひんやりと心地良く、小鳥たちのさえずりだけがすぐ間近に聞こえている。

ホームには、幸せを呼ぶと言う、“風の忘れもの”と名付けられたベルが有る。

 

 

接岨峡温泉

 

 次は、接岨峡温泉駅である。

開業当初は川根長島駅と言い、長島ダム建設の水没対策として、川根市代間で線路の付け替えが行われた。

高台に移った新線が開通すると、接岨峡温泉駅と改称して営業を始めている。

この時、水没する民家なども駅周辺に集められ、奥大井では珍しく駅前には形成された集落も見える。

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

 ここは川根本町の最北端、秘境と言われる奥大井の山懐に抱かれた、鄙びた温泉地として知られている。

田舎料理自慢の温泉や民宿、町営の日帰り温泉施設などが駅近くに点在している。

近頃では、駅から歩いて5分程の所が、蛍の観賞スポットとして、俄に知名度が上がっているらしい。

 

 

悲しい伝説の秘境駅 尾盛駅

 

 井川線の沿線には淋しい駅が多いが、その代表的な駅が尾盛駅だ。

石組に土盛りの粗末なホーム、僅かな建物が淋しく立つだけの駅のすぐ後ろには、急峻な山肌が迫っている。

こんな山間の秘境駅では、タヌキの置物が観光客を迎えてくれる。

この駅には、タヌキ達の悲しい伝説が残されている。

 

尾盛駅

尾盛駅

尾盛駅

 

尾盛駅

尾盛駅

尾盛駅

 

『トンネル工事の山小屋で働く、二人のまかないさんと別れたオモリのタヌキがいた。

タヌキは、何日も何日も山小屋に残された食材を食べながら、まかないさん達の帰るのを待った。

しかし、何時まで待っても、まかないさん達が再び飯場に帰ってくる事は無かった。

やがて食料も無く成るが、タヌキはオモリの原野を離れようとはしなかった。

こうして今日も、ホームでまかないさん達が帰ってくるのをずーっと待っている。

人の住まないまま残された建物はやがて朽ち、山から人の姿が完全に消えてしまった。』

 

尾盛駅

尾盛駅

尾盛駅

 

尾盛駅

尾盛駅

尾盛駅

 

尾盛駅

尾盛駅

尾盛駅

 

今では1面1線の地上駅、周りに民家もアクセスする道路も無い、無人の秘境駅である。

乗降客の姿は無く、ホームには「クマ出没注意」と書かれた看板が掛けられている。

駅周辺に熊が出没した為、一時は下車禁止の処置が執られたが、秘境感を求め訪れる鉄道ファンもいるらしい。

その為、今では残された保線小屋が避難場所として開放されている。

 

 

関の沢橋梁

 

渓谷は益々その深さを増し、線路のすぐそばまで山が迫り、立木との距離も随分と近い。

やがて列車はややスピードを落とし、大井川水系関ノ沢川に架かる鉄橋を渡る。

鉄道に乗っていては解らないが、長さ114mの鋼製アーチ橋である。

私鉄の鉄橋としては、日本一の高さ100mを誇る、「関の沢橋梁」だ。

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

関の沢鉄橋

 

ここを過ぎると、トロッコ鉄道の旅もいよいよ終わりが近く、残り5qほどとなる。

山間の地で、20個のトンネルを潜りながら、標高686mの終着駅に向けて、25パーミルの急坂を一気に登る。

やがて沿線最後の、金谷から数えると75番目のトンネルを抜けると、トロッコ列車の旅が終わる。

 

 

南アルプスの登山口 井川

 

車窓にダムが見え隠れすると、千頭から1時間50分の奥大井の旅は終わり、終点井川駅に到着だ。

静岡県内にある駅としては、最も標高の高い686mに位置している。

起点の金谷が93mで有ったので、ここまでに600m近くも上ってきたことになる。

 

 駅は、2面2線を持つ地上駅で、駅員が駐在する。

かつてはここから更に奥に、堂平と言う貨物駅が有ったらしい。

今ではそこに向かう線路だけが残されていて、その名残を僅かに留めている。

 

井川

井川

井川

 

井川

井川

井川

 

井川

井川

井川

 

井川

井川

井川

 

井川

井川

井川

 

井川駅は、南アルプスの登山口の駅である、と同時に井川ダムを巡る観光の拠点でもある。

駅から階段を降りた先には、土産物などを売る茶店も有り、駐車場も整備されている。

ここからバスに乗り換えるツアー客も多いのか、駅前にはバスガイドが手旗を立てて乗客を待っていた。

 

井川ダムは、中部電力により日本で最初に造られて中空重力式のダムである。

付近にはダムの構造や歴史が学べる電力資料館が有り、無料で利用できる。

またダム湖には、トロッコ列車と接続する無料の渡船も有る。

湖周辺の散策等したいところだが、慌ただしく、30分ほどの滞在で、折り返しの便に飛び乗った。

 



 

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