シーサイドライン
長崎本線の諫早から、佐世保本線の早岐を結ぶ47.6キロの路線が大村線である。
全線単線で、早岐〜ハウステンボス間が電化されているものの、他は非電化のローカル線だ。
そこを走る列車の多くが長崎、佐世保間で運行されている。
ここには目の覚めるようなブルーに塗り込められた「快速・シーサイドライナー」が凡1時間に1本運行されている。
車窓は、左に波静かな大村湾、その先、湾越しに対岸の西彼杵半島を望ながらのどかに進む。
路線の途中には、長崎空港やハウステンボスの施設が遠望できる。
ハウステンボスから終点の早岐までは電化区間で、博多方面からの特急・ハウステンボス号が乗り入れている。
早岐からは佐世保線に乗り入れると、終着駅・佐世保までは、10分余りである。
佐世保は北松浦半島を一回りするように走る、嘗てはJR松浦線と言われた松浦鉄道との接続駅だ。
JR駅が3面6線、松浦鉄道が1面2線を持つ大きな、有人駅である。
JRと松浦鉄道の西九州線を直通運転する列車の運行は、今は無い。
途中のたびら平戸口が日本最西端の駅で、佐世保駅は、日本最西端のJR駅と言うことになる。
路線には切支丹や西欧との交流関連の史跡の多い平戸が有り、更に焼き物で名高い伊万里、有田を結んでいる。
駅の東口は、大きなバスターミナルが有り、周辺にはマンションなどの高層ビルも多い。
駅の西口には、自動車道の高架橋があり、それを抜けるとオレンジ色のタイル張りの佐世保港が開けている。
広々とした広場の先に佐世保港のターミナルが見え、近辺の離島へ通う舟乗り場となっている。
左奥には海上自衛隊の佐世保警備隊の基地も有る。
平戸島
長崎県の北部、北松浦半島の西に位置する平戸島は、日本では20番目に広い島である。
人口2万人余りの島には、古くから人々の生活が営まれ、旧石器時代の遺跡も確認されている。
ここには、遣唐使や遣隋使など大陸との交流舟の寄港地として、早くから湊が開かれていた。
日本で最初のオランダとの交易が始まったのもこの湊で、以後ヨーロッパ諸国との貿易港として栄えもした。
異国のお菓子やキリシタン関連の遺産も多く、日本にいながら、異国文化に触れられる貴重な町でもある。
島には、キリシタン信仰の教会や、弾圧された殉教の地、墓地などが多くの史跡も残されている。
島の中心となる平戸の町は、旧平戸藩松浦氏6万3千石の城下町である。
本渡からは665mの「平戸大橋」が架かっていて、この辺りまで来ると右手の高台に平戸城を望む事が出来る。
平戸の観光の拠点は、平戸桟橋近くの「平戸港交流広場」だ。
駐車場が整備され、観光案内所や、平戸市漁協直営の土産や食事処「旬鮮館」等がある。
周辺には、「平戸温泉あし湯うで湯」があり、足湯の他に全国でも珍しい、腕をつけられる「うで湯」がある。
約40度に設定された滑り気のあるお湯は、美肌効果のある美人の湯として知られている。
又、嘗てNHKテレビ「私の秘密」で活躍した、平戸で生まれの作詞家・藤浦洸の「平戸のうた」の記念碑もある。
平戸ザビエル記念教会
港から15分ほど坂道を歩いた市街地の西には、丘の上に「平戸ザビエル記念教会」が建っている。
正面中央の先端部に十字架を頂いた、先鋭な造りの屋根が印象的な、モスグリーン色のモダンな教会である。
昭和6(1931)年に建てられた、鉄筋コンクリートの平屋建てで、ゴシック様式の建築物と言う事らしい。
平戸観光のシンボル的な施設という。
キリスト教を日本に伝えた司祭・フランシスコ・ザビエルは、平戸には三度訪れているという。
熱心に布教活動を行ったらしく、教会の敷地内には献堂10年を記念して、大きなザビエル像が建てられている。
このことから教会も、「聖フランシスコ・ザビエル記念聖堂」とも呼ばれるようになった。
内部は無料で公開されているが、入口には献金箱が置かれて居て、入場者に寄付を呼び掛けている。
寺院と教会の見える道
時間を充分に取れない場合でも、是非ここだけは見ておきたい、と言われる程の代表的なスポットである。
教会のあるメインストリートを外れ、建物の脇を抜け裏に回り込む。
そこは山の狭間の切り通しで、組まれた石垣に両側を挟まれた下り階段が続き、所々に行灯が置かれている。
正宗寺、光明寺、瑞雲禅寺等が甍を連ねる道で、石垣は苔むし木々が茂り、緑豊かな風情のある遊歩道だ。
この石畳道をそのまま下れば、海岸通り(国道153号線)に降りていくが、登りには結構タフである。
教会側から下る方が、楽に行けるようだ。
左手が少し開けると石垣の上に光明寺の塀が現れ、更に降り進むと瑞運禅寺の塀越しの墓地が続く。
そして丁度この辺りから、今降りて来た道を振り返ると・・・。
緩やかに波打つ白壁の土塀越しに、木々に囲まれたお寺のお墓や、瓦屋根の建物が幾重にも重なって見える。
さらにその奥には、教会の尖塔が天を突いて聳えていて、何とも不思議な光景が展開する。
ここは、「寺院と教会の見える道」と言われる、趣ある通りである。
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