紀伊勝浦
那智から紀伊勝浦までは二駅、5分ほどで到着する。
JR東海の特急「ワイドビュー南紀」の多くがここまで乗り入れ、関西圏方面への接続駅に成っている。
その関西圏へは特急「くろしお」が引き継いでいる。
大正元年12月に開業した駅は、元々「勝浦」と呼ばれていた。
しかしその1年後に開業した千葉県を走る外房線の勝浦駅と区別するために、変更となった。
昭和9年7月にこちらには「紀伊」が付けられ「紀伊勝浦」と呼ばれるようになる。
一方、那智や勝浦など周辺の「町」が昭和30年に合併し「那智勝浦町」を名乗るようになる。
これにより人口は、1.6万人ほどの町となった。
結果、町内の公立小中学校などは、当然「那智勝浦町立○○学校」となった。
しかし、当地の観光マップなどには「紀州勝浦」との表記も多く、郵便局は「紀伊勝浦」を名乗っている。
また、この近くに開ける温泉は、「南紀勝浦温泉」と呼ばれている。
ここは太平洋に面したリアス式海岸により、良港に恵まれた漁業の町である。
同時に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」観光の拠点として、又温泉のある観光地としても知られている。
なので、知名度を高めるためにも、「那智勝浦」の統一ブランドを用いれば良いように思う。
しかし当地では「紀州」、「紀伊」、「南紀」、「熊野」など、様々な冠を使い分けている事が何とも不思議だ。
マグロの町
那智勝浦の港周辺に広がる広場の横には、無料で利用が出来る足湯「海乃湯」や「鮪乃湯」なども有る。
この広場では、毎週日曜日の朝、生マグロや海産物、農産物などを販売する「にぎわい広場」が開催される。
その目の前にある漁港の市場では、南紀勝浦温泉の宿泊者に限り、市場での競り体験ができるらしい。
一般客向けには早朝に、2階の観覧フロアから「はえ縄漁」で捉えた近海マグロのセリ風景を見学する事が出来る。
またマグロの缶詰や、ひもの作りの体験や、マグロ料理教室などが予約すればできると言う。
ここ勝浦漁港は、全国有数のマグロ取り扱い港である。
焼津(静岡)や三崎(神奈川)に次ぐ水揚げ量全国第三位、生鮮マグロに限れば全国第一位を誇っている。
マグロはその種類によって美味しい時期が異なるらしい。
1月から3月にかけてはビンナガマグロやメバチマグロが、2月に入るとキハダマグロがそれに加わる。
シーズンが終わる4月から5月にはホンマグロの美味しい季節を迎えると言う。
そんなマグロの町を自負するだけに町中には、マグロが手軽に食べられるお店も多い。
定番の刺し身、丼、焼き物や、フライ、ステーキ、ハンバーグ、コロッケ、希少部位の変わり種料理などなど・・・。
和食店は当然の事、中華料理店でもマグロラーメンなど、各店が工夫したメニューで競っているのが面白い。
観光案内所には「紀州勝浦 生まぐろマップ」も有るので、これを片手にお気に入りを探すのも楽しいものだ。
紀の松島めぐり
勝浦港はJR紀伊勝浦駅から歩いて200mほどの所にある。
港の左手は観光桟橋、右手が勝浦漁港で、この港の周りは観光の拠点となっている。
観光客向けの広大な駐車場があり、お土産屋、食事処、旅館などが周りを取り巻いき、賑わいを見せている。
またこの港からは「紀の松島めぐり」の遊覧船や「太地鯨浜公園」行きの船が出ている。
加えて、大型の観光旅館・ホテルに向かう専用の連絡船などが頻繁に発着している。
「紀の松島」は、周囲17qの区間に広がる大自然が創造した、県下でも随一と言われる海岸美を誇っている。
点在する島々の数は、大小130余りだそうだ。
日本三景の一つ、宮城県の松島にその景観が似ていることから、このように呼ばれるようになった。
ここにはシーズンや天候にもよるが、幾つかのコースが用意されている。
太地くじら浜公園に寄港する便や、イルカの調教風景が見学できるコースが人気らしい。
運航する舟は、「クジラ号」「イルカ号」「オルカ号」が有り、船体がそれぞれに似た造りになっている。
眺望を楽しむなら2階席が、暑さ寒さを防ぐなら室内の1階席が良い。
しかし室内席は窓越の撮影となり、自身のカメラが映り込んでしまうので、写真を期待するなら2階が良い。
紺碧の海原は意外にも波が穏やかで、心配するような揺れはない。
ラクダ岩、ライオン岩、筆岩等と名付けられた大小の島々(岩礁)や、洞窟など見どころも多い。
途中には、島に建つ大型ホテルの専用桟橋にも立ち寄って、乗船場に戻っていく。
くじらの町・太地
紀伊勝浦を出た電車は鯨の町・我が国の捕鯨発祥の地として知られた太地(たいじ)に向かう。
捕鯨の歴史は古く、すでに鎌倉時代から行われていたようだ。
事業として盛んに行われるようになるのは江戸時代の初期頃かららしい。
当時は船団を組んで、マッコウクジラやセミクジラなどを手突きの銛で獲る突捕漁であったと言う。
しかし近年になってこの漁が、恣意的に作成された映画等により、非難の対象として物議を醸した事もあった。
国内では最後と言われるイルカの追い込み漁は、古くから続く伝統的漁法である。
当地に於いては、人間が生きて行くために連綿と受け継がれてきた文化であり、生業でもある。
他にも動物を捕獲して食料とする習慣は、世界中どこにでもあるのに、何故標的とされるのか全く理解に苦しむ。
町内にはくじら浜公園があり、園内には捕鯨船の展示や、くじらのモニュメントがある。
食事処の他「くじらの博物館」や、当地生まれの画家・石垣栄太郎の「石垣記念館」などが併設されている。
また付近にはプロ野球選手の個人博物館としては、日本では最初に造られた「落合博満野球記念館」もある。
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