白神山地の玄関 十二湖駅
五能線は岩館を過ぎると秋田県から青森県に入る。
大間越、白神岳登山口、松神と停車を重ね、次は十二湖駅に停車する。
単式ホーム1面1線を有する地上駅で、ブナの自然林と十二湖巡りで知られる自然探索路の玄関駅だ。
駅員はいないが、駅には観光案内所が有りこの職員が、駅務の代行の様なことをしている。
駅前を出たバスは、国道101号を走り、暫くしてそれを離れ、濁川に沿って白神山系の懐へと入り込む。
森の中に続く道を5分ほど行くと右手に、日本キャニオンと呼ばれる異様な山塊が見えてくる。
山肌の浸食崩壊によって、白い凝灰岩がむき出しに成った一際目を引く大断崖だ。
アメリカのグランドキャニオンに因んで名づけられたと言う。
トルコのカッパドキアに近いとの説もあるらしいが、いずれにしてもそのスケールは比べる迄も無い。
車窓からは、樹間を通して八景の池、王池などが見える。
越口の池近くには、幻の魚イトウの養漁場もある。
バスは、奥十二湖観光の拠点、「森の物産館・キョロロ」の前に、15分ほどで到着した。
車なら、そのっま有料駐車場へと導かれるような、行き止まりが広い駐車場になっている。
随分と山奥に入り込んだように感じるが、実際には海岸からは、4キロ程しか離れていないらしい。
白神山地の西側に位置している十二湖は、江戸時代の大地震によって沢がせき止められ、地盤が陥没した。
その時、この辺り一帯には33もの湖沼が一気に出来たと言う。
しかしその折、山の上からその湖沼群を数えたら、12個しか見えなかったらしい。
そのためそれ以後は、この地を「十二湖」と呼ぶように成ったと伝えられている。
神秘の青池
世界自然遺産の白神山地には、青森と秋田両県にまたがり広大な原生林が広がっている。
白神の原始に近い大自然の山の多くは入山の許可が必要であるが、ここ「十二湖」周辺は気軽な散策が楽しめる。
遊歩道が整備され標識も充実しているので、初心者にも手軽に大自然を楽しむことが出来る。
また、希望すれば有料ながら、現地のガイドクラブのメンバーが同行し案内をしてくれるサービスもある。
「森の物産館・キョロロ」の前から、樹間を貫く砂利道を暫く進むと左手に「鶏頭場の池」が現れる。
上から見るとこの池は、鶏の頭の形に似ていることから名付けられたそうだ。
鬱蒼と茂るブナやミズナラなどの自然林に囲まれ、薄いうぐいす色の水を湛え、静かに佇んでいる。
そこからさらに5分ほど歩くと、この地の一番の見どころ「青池」に到着する。
面積975u、周長125m、深度9mの「青池」は、十二湖の中に有っては比較的小さな池である。
あっと息をのむような、まさに青インクを垂らしたような、コバルトブルーの静かな湖面が美しい。
池は自然林からの木洩れ日の当たり様でその色が変わるのか、場所を違えれば濃いエメラルドグリーンにも見える。
吸い込まれそうなくらい水が清んでいて、光が池底まで透けているのが解る。
春から夏は明るい青、秋の深まりで濃く成り、冬は黒く見えるらしいが、何れも晴れた午前11時前後が良いらしい。
底から白神山地の伏流水がこんこんと湧き出ているが、なぜこの色に成るのかそのメカニズムは良く解ってはいない。
ブナの自然林
「青池」から少し階段を上ると、環境に配慮した木道が、ブナの自然林に向けて整備されている。
ここ十二湖周辺は、夏緑落葉樹林帯で、ブナ、ミズナラ、トチ、イタヤカエデなどの落葉樹が多い。
それにヒノキやアスナロなどの針葉樹などが含まれ、更にエノキやヤブツバキなど多様な植物が加わっている。
このように、暖地系・寒地系の両面を持つ自然林が貴重な地域とされている。
野鳥達も豊富で、運が良ければ、アオゲラなどの巣穴を見る事が出来るそうだ。
「青池」から階段を上り詰めると、このコースでは標高が一番高い269mの地点に出る。
ここからは緩やかな下り道で、数百mほど歩くと「沸壺の池」が有る。
白神山地の伏流水がこんこんと湧き出るこの池は、古木に囲まれて静寂の中に佇んでいる。
この池も透明度の高い青い水を湛え、「青池」に負けず劣らず神秘的で美しい。
遊歩道の足元には、クッション性のある木材チップが敷き詰められている。
沸壺からそんな柔らかな道を下ると、県道に出て、湖畔にベンチが置かれた「落ち口の池」に着く。
その前には、 「平成の名水百選」(平成20年環境省)に選ばれた、「沸壺の池」の清水が有る。
ここの茶店「十二湖庵」では、この水で入れた抹茶とお菓子を味わうことができる。
「がま池」を見ながら、緩やかに上る道を数百mほど歩くと出発地の「森の物産館・キョロロ」に戻って来る。
館には、名産品の販売や、食事処があり、観光案内など、この辺りの観光拠点となっている。
有料の駐車場が有り、JRの十二湖駅に向かうバス乗り場もこの施設の前にある。
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