清水サバ

 

この日の宿は、久百々に有る「民宿・いさりび」だ。

今回の歩き遍路では基本的に宿は、事前予約で押さえている。

一日に歩ける距離を定め、その前後の辺りで、宿泊できる場所を捜し、予約を済ませている。

当然、遍路の口コミも参考に、評判の良さそうな宿が対象と成り、今晩の宿もその一つである。

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

 夕食に思いがけないものが出た。“サバの刺身”である。

高知の宿では何処も当たり前のようにカツオが出さるので、今日もと思っていただけにこれは少々意外であった。

足摺沖は潮の流れが速く、餌も豊富で身のしまったサバが育つと言う。

そんな瀬付きのゴマサバで、土佐清水で水揚げされたものを“清水サバ”としてブランド化に取り組んでいる。

特に秋から冬にかけてが旬で、トロのように脂の乗った刺身を味わえると言う。

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

民宿・いさりび

民宿・いさりび

民宿・いさりび

 

脂がのり引き締まった身は、こりこりとした触感が堪らなく、ことの他美味しかった。

「値は高いけど、お客さんが喜んでくれるので」と鉄工業から転身したご主人が話す。

「檜の大きな風呂にも入って欲しかったけど、今日はお客さんが少ないので小さい方で申し訳ない」と言う。

「こだわりの有る宿をやりたかった」との一言に、“土佐のいごっそう”の心意気を見た。

 

 

県道21号は山の中

 

 7時前に宿を発った。

昨日歩いた道を下ノ加江まで戻り、五味橋の手前で左折、遍路お休み処・一心庵の前を通り県道21号に入る。

次の札所延光寺までは、真念庵経由と三原経由の二つのルートが有るが距離的にはあまり差はない。

しかし、32キロもある長丁場である。

海を離れ、川沿いの道を歩き、やがて周囲から人家が途絶えると、県道は少しずつ上り始め心細いほど狭く成る。

 

県道21号

県道21号

県道21号

 

県道21号

県道21号

県道21号

 

県道21号

県道21号

県道21号

 

高知県は四国では面積が一番広く、全国で18番目の広さを誇っていて、県土の84%は森林が占めている。

そんな森林県を彷彿させる景観が何処までも続く淋しい山道である。

見事に植林された山からは、どこからともなく木を切るチェンソーのエンジン音だけが聞こえてくる。

 

途中、行き交う車を見ることは殆ど無く、勿論遍路に会うことも無い静かな山道である。

民家や、商店どころか自動販売機すら無い、何も無い細い道である。

 

県道21号

県道21号

県道21号

 

県道21号

県道21号

県道21号

 

県道21号

県道21号

県道21号

 

 ここまで宿からは10キロ程を歩いて、沿道に久しぶりに人家が見えてきた。

結局県道21号は、車どころか、人にも会うことのない道であった。

山間の僅かな平地に、集落と言うほどもなく、パラパラと一二軒が肩を寄せ合うように建っている。

人家の集まった地の外れに、それでも氏神さまで有ろうか、古い神社が祀られていた。

 

 

高知県三原村

 

この河内神社を過ぎると道は土佐清水市から、三原村に入る。

三原村は周囲をさほど高くは無い標高二三百メートル程度の山に囲まれた高原地帯に位置している。

人口1,800人足らず、豊かな森林を誇る村である。

流れる川は下の加江川、先ほど歩いて来た川の上流にあたる。

 

県道21号

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

その入口に近い芳井の集落に竹を組んで、ブルーシートを被せた遍路小屋が有り、休ませてもらう。

小屋では先客の遍路二人が、そのご主人と共に腰かけ談笑中であった。

テーブルにはお茶、コーヒー、お菓子にみかん、カップ麺まで用意され「ご自由に・・」と書かれている。

 

 一頻り、靴紐の緩まない結び方談義に花が咲いた。

知らない者同士が、こう言った施設を通じて親しく話し合えるのも、歩き遍路の楽しみの一つである。

どこの小屋もそうだが、ご縁を結んでくれ、至れり尽くせりのこの誠意には、感謝の言葉しかない。

 

三原村

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

遍路小屋から5キロほど山を下った下長谷の集落で小休憩、道端に腰を下ろしここで昼食をとる。

「民宿・いさりび」の女将が、お接待だと言って出掛けに渡してくれたお弁当だ。

包みを解くと、焼きおにぎりが二つ、香の物が添えられ、心ばかりのおつまみが入っていた。

こんがりと焼かれた醤油の香ばしい匂いが食欲をそそり、疲れた身体には事の他美味しかった。

 

 

遍路小屋・善根宿

 

 遍路道には、善意の「遍路小屋」や「遍路休憩所」が沢山存在する。

何れも篤志家により善意で提供される施設で、そこでは様々なお接待も行われている。

飲み物や果物、お菓子などが用意され、多くは無人だが、何人かの要員が詰めている施設も少なくはない。

遍路道にはこうした善意が、最早文化として定着し、四国八十八カ所の構成要素の一つとした成立している。

 

三原村

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

 修行僧や歩き遍路、貧しくて宿泊代の出せない旅人を無料で泊めてくれるのが「善根宿」である。

四国の遍路道にもこうした善意で提供される宿は、幾つも存在する。

また寺の境内にある通夜堂も、歩き遍路なら宿泊が可能なところもある。

更に遍路道には幾多の遍路休憩施設が存在し、中には野宿可能な所もあるようだ。

 

三原村

三原村

三原村

 

三原村

三原村

三原村

 

 何れの施設も独自のルールが有り、利用するものはそれを遵守する事は言うまでもない。

しかし、中には宿泊禁止場所での野宿やテント張り、火気禁止場所での不正使用、利用後の片付けの不備など、心ない利用者がいることも事実らしい。ある場所の休憩施設では、たった一人の遍路が占拠して、簡易テントを張り、洗濯物を干しているのを目撃したが、明らかにルール違反である。これでは後から来たものが休みたくても、休めやしない。

最低限、守るべきは守り、善意にはやはり誠意を持って感謝の気持ちで答えたいもので有る。

 



 

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